2008 Fiscal Year Annual Research Report
層状半導体の剥離ナノシート分散体による光エネルギー変換系の構築
Project/Area Number |
20550171
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
中戸 晃之 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (10237315)
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Keywords | 層状ニオブ酸塩 / 剥離 / ナノシート / 分散体 / 半導体光触媒 / 光誘起電子移動 / 水の分解 / メチルビオロゲン |
Research Abstract |
層状ニオブ酸塩(K_4Nb_60_<17>)を水中で剥離させたナノシートのコロイド分散体中で、半導体光触媒であるニオブ酸ナノシートの光励起を起点とする光エネルギー変換反応(光誘起電子移動、水からの水素発生)を検討した。 光誘起電子移動については、ニオブ酸と粘土との2種のナノシートを混合させた分散体(以下ニオブ酸-粘土2成分系分散体)を用い、ニオブ酸ナノシートから電子供与体(メチルビオロゲン)への電子移動に対する粘土ナノシートの効果を調べた。その結果、粘土が電子移動の効率や電子移動後の電荷分離の安定性に大きく影響することが分かった。これは、粘土が分散体の粘性を変化させ、それにより系内の物質移動特性が大きく変わるためであると推定した。 水からの水素発生については、ニオブ酸ナノシート分散体へメチルビオロゲンを加えないで光照射することで、水から光触媒的に水素が生成することを確認した。水素発生速度は、粒径の大きなニオブ酸ナノシートを用いること、ならびにニオブ酸ナノシートに助触媒として白金を光電析させることで、向上した。ナノシート粒径の影響は、TiO_2などで報告されている結晶子径の効果に帰属される。一方、ニオブ酸-粘土2成分系分散体への光照射では、水素発生速度は著しく低下し、ニオブ酸の光励起によって生じた電子はそのままニオブ酸ナノシート中に安定に蓄積された。 以上より、ニオブ酸ナノシート分散体中での光誘起電子移動反応では、粘土ナノシートの共存が反応に大きく影響するが、電子受容体の種類によって粘土が促進的に寄与する場合と抑制的に働く場合のあることが示された。
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Research Products
(6 results)