2010 Fiscal Year Annual Research Report
層状半導体の剥離ナノシート分散体による光エネルギー変換系の構築
Project/Area Number |
20550171
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
中戸 晃之 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (10237315)
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Keywords | 層状ニオブ酸塩 / 剥離 / ナノシート分散体 / 光誘起電子移動 / 光触媒的水素発生 / 電場配向 / 相分離 |
Research Abstract |
層状ニオブ酸(K_4Nb_6O_<17>)を剥離させたナノシートのコロイド分散体を基盤とする種々の多成分系を構築し、その構造、およびニオブ酸ナノシートの光励起によって生じる分散体の光化学反応を検討した。 まず、ニオブ酸ナノシートと粘土ナノシートとを混合させた2成分系分散体の構造と光化学反応における粘土種の効果を検討した。本系の構造的特徴は2種類のナノシートの相分離による階層構造の形成にあり、粒径の異なる粘土種を用いてもこの基本的特徴は維持された。しかし、構造は完全に同一ではなく、粘土の違いによるニオブ酸ナノシートの液晶配列の周期性の違いが観察された。また、ニオブ酸ナノシートから系に加えた電子受容体への光誘起電子移動を行わせると、粒径の大きい粘土を用いた系では、反応が抑制されることがわかった。これより、粘土に着目した光反応制御が可能であることが示唆された。また、外場(電場)によるニオブ酸ナノシートの配向規制を検討し、分散体の電場応答の基本的特徴を明らかにするとともにモノドメインの形成に成功した。 次に、ニオブ酸、粘土、助触媒、電解質からなる多成分系ナノシート分散体による水からの水素発生の検討を行った。その結果、ナノシート分散体の光触媒活性の向上には、貴金属助触媒の導入が最も効果的で、他の添加物による活性向上はあまり見られないことが分かった。特に、粘土は抑制的に作用した。この粘土の抑制効果は、反応分子が溶液中を拡散する必要があることによる。ただし、多量の電解質を添加した場合、ナノシート凝集構造の発達によるある程度の活性向上が見られた。これらより、ナノシート分散体による光エネルギー変換では、反応の種類によって異なる系の設計指針が必要であると言える。
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Research Products
(12 results)