2009 Fiscal Year Annual Research Report
オレフィン分離機能を有する銀イオン安定化有機-無機ハイブリッド材料の創製
Project/Area Number |
20550177
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
蔵岡 孝治 Kobe University, 海事科学研究科, 准教授 (80356930)
|
Keywords | 有機-無機ハイブリッド / オレフィン / 膜分離 / 銀イオン |
Research Abstract |
本研究では、無機材料の耐化学薬品性、耐熱性にオレヤフィン選択性の機能を付加することを目的として有機-無機ハイブリッド材料を選択し、オレフィン分離機能を有する有機-無機ハイブリッド膜の創製を目指しているが、今年度は、昨年度に引き続き新規なオレフィン分離膜の作製に取り組むと共に作製したオレフィン分離膜の気体透過機構の解明にも取り組んだ。新規なオレフィン分離膜の作製については、銀イオン(Ag^+)を担持する官能基としてメルカプト基に着目し、メルカプトプロピルトリメトキシシランとテトラメトキシシランをAg^+存在まで加水分解、重縮合させることによりゾルを調製し、多孔質ガラス膜にディップコーティングすることにより有機-無機ハイブリッド膜を作製した。作製した膜は、エタン(C_2H_6)に対するエチレン(C_2H_4)の透過率比(分離比C_2H_4/C_2H_6)が2程度であったが、エチレン選択性を示すことを確認した。また、前年度に作製した高いエチレン選択性を有するシリカ-ポリアクリル酸-Ag^+有機-無機ハイブリッド膜についてその透過機構解明のため、ヘリウム(He)、窒素(N_2)及び50%C_2H_4-50%C_2H_6混合ガスを用いてその気体透過性の評価を行った。作製した膜のN_2に対するHeの透過率比(分離比He/N_2)はKnudsen流による理論値(He/N_2=2.6)よりも大きく、その膜構造は緻密であることが推察された。また、混合ガスによる透過試験からも作製した膜は単一ガスを用いた結果と同様に高いエチレン選択性を示すことが明らかとなつた。これらの結果より、エチレンの分離は有機高分子に担持されたAg^+による促進輸送の効果であることが示唆された。
|