2010 Fiscal Year Annual Research Report
半導体ネットワークを持つ新しい共有結合性金属化合物の合成と物性評価
Project/Area Number |
20550178
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福岡 宏 広島大学, 大学院・工学研究院, 助教 (00284175)
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Keywords | ジャーマナイド / 半導体ネットワーク / 超伝導 / 高圧合成 / Zintl相 |
Research Abstract |
我々は既にLu-Geの系においてLuGe_3,Lu_3Ge_7という二種類の新化合物を合成し、それらがTc=3.6Kの超伝導体であること明らかにしている。本年度の研究では、更にLuGe_2という新化合物の合成に成功し、これがTc=3.3Kの超伝導体であることを見出した。また、その結晶構造を詳細に解析した結果、本化合物が新構造を有し、有名なCaGe_2型構造の新しいポリタイプであることを明らかにした。更にYb-Ge系においても同形化合物であるYbGe_2を得ることができた。 本研究で得られた新化合物についてその電子構造を解明するために、第一原理計算を行った。そのうち、Yb_3Ge_5について以下に示すような興味深い結果が得られた。Yb_3Ge_5は昨年度に行った単結晶構造解析により、その構造中に四角錐型のGe_5ユニットが存在することがわかっている。このユニット内の隣り合う全てのGe-Ge結合について、そのCOHPを計算したところ、強い共有結合性をもつことが分かった。更に、同様の方法で隣り合うGe5ユニット同士の相互作用を見積もったところ、そのユニット間を一次元的につなぐGe-Ge原子間にも比較的強い共有結合性が見出された。この一次元的な電子軌道のつながり(それによって生成する非局在化した反結合性バンド)が、本化合物における金属伝導性の原因であると考えられる。 2010環太平洋国際化学会議において、Yb-Ge系化合物についておこなった発表(次ページ、学会発表の第4番目)は、Chemistry and Materials Science at High Pressures(#239)のセッションにおいてポスター賞(First prize of the student poster award)を授与された。また、Bull.Chem.Soc.Jpn.に発表した論文(次ページ、雑誌論文第1番目)は、当該誌4月号のBCSJ賞を受賞した。
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Research Products
(7 results)