2010 Fiscal Year Annual Research Report
硫酸含有酸化チタンを用いた塩素化エタンの分解とエチレン、塩化ビニルへの物質変換
Project/Area Number |
20550179
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山崎 鈴子 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (80202240)
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Keywords | 環境材料 / 触媒・化学プロセス / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
今年度に解決すべき課題は、(1)ブレンスデッド酸点よりもルイス酸点の方が塩素化エタン類の分解が進みやすいのは何故か、(2)塩化ビニルやエチレンへの変換効率をさらに向上させるための手法の確立、の2点である。まず(1)については、塩素化エチレン類であるトリクロロエチレンの分解実験を酸化チタンと硫酸含有酸化チタンで行い、塩素化エタン類の結果と比較することで、塩素化エチレン類の場合には、ブレンステッド酸点の存在は光触媒分解反応に影響しないことが判明した。さらに、塩素化エタン類のブレンステッド酸点への吸着は大きく阻害されることが分かった。以上より、クロロエタンや1,2-ジクロロエタンで見られた光触媒活性の大きな低下は、反応によって生じた塩化水素が吸着することで、ルイス酸点をブレンステッド酸点に変えてしまい、光触媒上での吸着が阻害されるためであると結論することができた。したがって、触媒表面でのブレンステッド酸点の生成を抑制できれば、塩素化エタン類の分解効率が増大すると期待された。この設計指針に基づき塩化水素が吸着しにくい触媒表面の構築を目指して、シリカや酸化タングステンと酸化チタンをゾル-ゲル法により複合化させて、光触媒表面の酸性度の制御を試みた。その結果、ゾル-ゲル法で複合化しても、触媒表面と内部による組成が一定にならず、他の手法による複合化を試みるべきであることがわかった。(2)に関しては、塩素化エタン類を塩化ビニルやエチレンなどの有用なアルケン類へ変換するためには、酸素のない条件で実験を行うことが不可欠であるが、変換効率、脱塩素化率を調べてマスバランスを求めたところ、アルケン類への変換以外の反応経路が存在することがわかった。この反応経路を阻害して、アルケン類への変換過程を促進できれば、変換効率が向上できるはずであり、今後の研究方針を立てることができた。
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Research Products
(1 results)