2010 Fiscal Year Annual Research Report
水可溶性グラフト又はブロック共重合体に代替可能な高分子包括ナノ架橋体の研究
Project/Area Number |
20550183
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
國府田 悦男 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (40124648)
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Keywords | ナノゲル微粒子 / 高分子包括固定 / グラフト共重合体 / ブロック共重合体 / 汎用高分子 / 高分子凝集剤 |
Research Abstract |
本研究は、通常の溶液重合と同じ操作で、水可溶性グラフト又はブロック共重合体と同じ物性を持つ高分子包括ナノ架橋体(PENG)を多量・安価に合成するための手法の確立を最終目標とし、そのFirst Stageの検討を行なうものである。具体的には,ナノ架橋体網目を作る高分子(polyM)と,網目の中に包括される高分子(polyA)の組み合わせにより,種々のPENG微粒子を合成し,その物性研究を行なうことで、合成スキーム(仮説)を実験科学的に検証し、PENGナノ粒子が汎用高分子として利用可能であること明らかにする。本年度では、当該研究計画の最終年度であり、今迄の実験結果をより詳細に検討することを目的とした。具体的には、N-isopropylacrylamideと1-vinylimidazoleからなるランダム共重によりpolyAのアナログ(カチオン性ナノゲル粒子)を合成し、高分子アニオンとの静電的相互作用を詳細に調べた。その結果、polyAを高分子電解質とした場合(当該研究計画のS-2及びS-3系)、ナノ粒子表層のdangling chainとして作用する高分子電解質セグメントは、鎖状高分子の場合と同様に静電的な相互作用により複合体形成を行なうが、ナノ粒子内部に存在するイオン座は対イオンを強く固定し、系全体の水分散性を維持することが明らかとなった。この事実から、本研究で合成したPENGは、類似の化学組成を持つ水可溶性グラフト又はブロック共重合体と同じ物性を示すことが裏付けるものである。さらに、このようなPENGを用いることにより、今迄に多くの検討が行われて来た「高分子電解質複合体の化学量論性と水分散性に関する研究」の新たな展開が可能であることも示唆された。
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Research Products
(4 results)