2009 Fiscal Year Annual Research Report
分子カプセルを利用した超分子構造体の作成と機能開発
Project/Area Number |
20550185
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山岸 忠明 Kanazawa University, 物質化学系, 教授 (90220251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生越 友樹 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (00447682)
高田 晃彦 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (20254427)
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Keywords | 環状化合物 / 凝集状態制御 / ゾルーゲル転移 / 水素結合 / ネットワーク構造 |
Research Abstract |
1)目的:フェノールの環状オリゴマーであるカリックスアレーンは、特異的な構造と官能基の導入が容易であることからホストーゲスト相互作用を基づく機能性材料の構成要素分子として注目されている。最近我々は、これらを凝集させることによる新規機能化を試みている。今回、環状分子内に水酸基と長鎖アルキル基を有する両親媒性レゾルシンアレーン(amp-CR)の合成を行い、親水性と疎水性をうまくバランスさせることによってカリックスアレーン骨格の凝集状態を変化させることを中心に検討した。 2)実験:amp-CRは、エチレングリコール類に加熱・溶解させ、その後室温まで冷却することでゲルを形成した。この溶液の濃度や温度によるゾルーゲル転移挙動を目視、偏光顕微鏡およびDSC測定により観察し、ゲルの形成機構と構造について検討した。 3)結果と考察:ジエチレングリコール(DEG)にamp-CRを加熱・溶解させたところ、ある温度でゲル化が起きることがわかった。さらに、水を添加することでゾルーゲル転移挙動に変化が見られた。アセトンや酢酸など水溶性溶媒においても、若干の水を添加することで同様なゲル化現象が観察された。今回のゲル化は、amp-CRと溶媒分子との水酸基による水素結合と、疎水性部位であるamp-CRの長鎖アルキル基同士の凝集によるネットワークの形成により引き起こされたと考えられる。amp-CRとDEGとの水素結合は、^1H NMRにおけるamp-CRの水酸基プロトンの化学シフトが変化することからも支持された。添加した水によってゾルーゲル転移温度が高温側へ変化することを見出した。さらに、シリカ微粒子を混合させることでも水と同様の結果を得た。以上により、溶媒分子とamp-CRの水酸基間の水素結合が基本となって、ネットワーク中で特異な構造を形成していることが示唆された。
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