2008 Fiscal Year Annual Research Report
XeガスとNMR法を用いた高分子固体の自由体積空間精密評価と気体輸送機構の解明
Project/Area Number |
20550186
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉水 広明 Nagoya Institute of Technology, 工学研究科, 准教授 (10240350)
|
Keywords | 高分子固体 / 核磁気共鳴法(NMR) / キセノン / 自由体積 / 気体輸送特性 |
Research Abstract |
種々の高分子固体を対象に様々な圧力下でXeガスの吸着実験とNMR測定を行い,0.1ナノメートルレベルの極微小空間の平均サイズを評価し得ることを立証した.具体的には,我々が提案するNMR法によるサイズ評価法とは別の手段により報告されている既報値との比較や,温度変化からの考察,構造既知の結晶体に対する実験データなどから,本研究で決定されたサイズの信頼性を確かめた.本研究で開発・提案できたこの精密評価法は,電子顕微鏡では決して観察することのできない,高分子固体の詳細な分子立体高次構造(≒分子凝集構造)を解明するのに多大な貢献をなすものといえる.さらには,気体分離材やガスバリヤ材などに高分子を応用する上で,確かな評価値を与えるものであるから,光学・産業的にも価値が高いと考えられる.なお,本補助金を基に作製した,任意の圧力のXeガスを封入できる装置を活用して,効率よく測定が実施できた.また,本年度推進できた極微小空間サイズの精密評価は,NMR実験から得られる,「化学シフト値」を解析して行なうものであるが,同実験からは他に,「スペクトル線幅」や,「核磁気緩和時間」等のデータも得られるので,これらから高分子固体中におけるXeの拡散特性についても検討できるよう,次年度以降の研究推進の方向性を見定めることができた.本年度の研究結果からは,スペクトル線幅と従来法で得られた拡散係数値に相関が認められている.最終目的である,気体輸送特性の機構解明へ向けて,NMR法による拡散係数値の計測法の確立も行なわなくてはならないことが分かった.
|