2009 Fiscal Year Annual Research Report
XeガスとNMR法を用いた高分子固体の自由体積空間精密評価と気体輸送機構の解明
Project/Area Number |
20550186
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉水 広明 Nagoya Institute of Technology, 大学院・工学研究科, 准教授 (10240350)
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Keywords | 高分子固体 / 核磁気共鳴法(NMR) / キセノン / 自由体積 / 気体輸送特性 |
Research Abstract |
完全に無定形な高分子固体や気体分子程度の大きさであればそれを収容できる分子間隔を有する高分子結晶体を対象に,様々な圧力下でXeガスの吸着実験とNMR測定を行い,Xe原子の大きさ以上で0.1ナノメートルレベルの極微小空間の平均サイズを評価し得ることを昨年に引き続き立証した.この精密評価法は,電子顕微鏡では決して観察することのできない,高分子固体の詳細な分子凝集構造である高次構造を具体的に描画するのに多大な貢献をなすものといえる.さらには,気体分離材やガスバリヤ材などに高分子を応用する上で,確かな評価値を与えるものであるから,工学・産業的にも価値が高いと考えられる.なお,本補助金を基に作製した,任意の圧力のXeガスを封入できる装置を活用して,効率よく測定が実施できたことから,新規な構造解析法の原理提案にとどまらず,具体的な実験手順と測定条件や標準値の定義をも示すことができたわけで,広くルーチン化した手法として,細々とした実験器具などの実用・商品化へも道を開くことができたといえる.さらに,本年度推進できたNMR実験から得られる「スペクトル線幅」や,「核磁気緩和時間」等のデータから高分子固体中におけるXeの拡散特性についても検討できる可能性をも示すことができた.本年度の研究結果から,スペクトル線幅は拡散係数値に密接に関るもので,これが濃度依存や計測時間依存を示す場合のあることを確認できた.これらのNMR法によるデータの解析とその解釈を通じて,最終目的である高分子固体材料の詳細な構造解析並びに気体輸送特性の機構解明を提案できることが分かった.
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