2008 Fiscal Year Annual Research Report
非対称な多層構造を有する感温性ゲルの合成と屈曲特性
Project/Area Number |
20550189
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
飯澤 孝司 Hiroshima University, 大学院・工学研究科, 准教授 (60130902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
迫原 修治 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80108232)
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Keywords | 感温性ゲル / 高分子反応 / 多層ゲル / 屈曲性 / LCST(下部臨界溶液温度) |
Research Abstract |
円柱状のポリアクリル酸ゲルのDBU塩(DAA)と1段目のアルキルアミンとのアミド化反応を途中で止めると、完全にアミド化したPoly(N-alkylacrylamide)(PNAA)のシェル層と未反応のDAAコアからなるコアーシェル型ゲルが合成できる。次に、このゲルを第1段目と異なるアルキルアミンで2段目のアミド化を行うことにより、アルキル鎖(LCST)の異なるPNAAのシェル層とコアからなる感温性二層ゲルが合成できることは既に報告した。さらに、この反応を途中で止め、同様の手法で3段目、4段目のアミド化を行うと4層の異なるPNNA類からなる感温性多層ゲルが合成できた。また、2種類アルキルアミンの混合物を用いると相当するPNAAの中間の物性値を持つ共重合体が得られることも判明した。合成した四層ゲルは、外側の層ほどそのLCSTが高くなるように各々のPNAAの組合せを分子設計した。この四層ゲルは、ゲル全体が膨潤する低い水温から徐々に昇温すると、LCSTの低い中心部分の層から順番に転移による収縮が起こった。その際、それぞれの層は、お互いに影響を受けず、独立して転移挙動を示すことが認められた。 これらのことから、本合成法によりコアとシェル層の中間の組成を持つ第三層を界面に導入することが可能であり、さらにこの第三層を導入すればゲルの膨張・収縮による界面での破壊を防げると考えられる。ここで得られた知見を利用することにより、感温性かまぼこ型二層ゲルの界面の弱さを改善すること、すなわち次年度以降の本研究の目的を達成できると期待される。
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