2009 Fiscal Year Annual Research Report
非対称な多層構造を有する感温性ゲルの合成と屈曲特性
Project/Area Number |
20550189
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
飯澤 孝司 Hiroshima University, 大学院・工学研究科, 准教授 (60130902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
迫原 修治 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80108232)
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Keywords | 感温性ゲル / 高分子反応 / 多層ゲル / 屈曲性 / LCST(下部臨界溶液温度) |
Research Abstract |
昨年度、ポリアクリル酸ゲルのDBU塩(DAA)と異なるアルキルアミンとのアミド化反応を多段で行うことにより、アルキル鎖の異なるPoly(N-alkylacrylamide)(PNAA)から成る感温性多層ゲルが合成できることを明らかにした。この知見を応用し、長い円柱状のDAAとn-プロピルアミン(NPA)で30%、次にNPAとイソプロピルアミン(IPA)の混合物で10%、残りの部分をIPA単独でアミド化させることにより、異なるPNAAから成る円柱状の感温性三層ゲルを合成した。これを長さ方向で2等分にすることにより非対称なかまぼこ型感温性三層ゲルを作製した。以前合成したかまぼこ型感温性二層ゲルは、それぞれの層の感温性の違いによる膨張・収縮により、大きく屈曲・伸長するが、これを繰り返すと数回で界面から剥離してしまった。しかしながら、コアとシェル層の間に中間の組成を持つ第三層を導入した三層ゲルは、中間層がゲルの膨張・収縮によるひずみを緩和し、屈曲・伸長を繰り返し行ってもゲルの破壊が起こらなくなることを明らかにした。さらに、1段目のNPAの反応後、生成したシェル層を洗浄せず、IPAの反応溶液に浸け2段目の反応を行うことにより、簡単に二層間に組成の傾斜を付けることに成功した。この傾斜部分はかまぼこ型感温性三層ゲルの中間層と同様の効果を示し、かまぼこ型感温性二層ゲルの界面の弱さを改善することができた。さらに、ゲル中に屈曲点を増やすことにより、ジグザク型など変形の大きな非対称感温性多層ゲルを開発することが可能であり、最終年度の本研究の目的を達成できると期待される。
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