2009 Fiscal Year Annual Research Report
ロタキサン型機械結合架橋点を導入したポリウレタンエラストマーの開発
Project/Area Number |
20550191
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
村上 裕人 Nagasaki University, 大学院・生産科学研究科, 准教授 (30274624)
|
Keywords | ロタキサン / ポリウレタン / ネットワークポリマー |
Research Abstract |
ポリロタキサンとは、複数の環分子が一つの高分子鎖に通ったネックレス様の形状をもつ高分子である。本研究では、ポリウレタンのプレポリマーをポリロタキサンの環分子に直接導入した新規ポリロタキサン架橋ポリウレタンを分子設計・合成し、その物性評価を行うこと目的とする。本年度は、環分子にα-シクロデキストリン(CD)、軸分子α,ω-ジアミノポリエチレングリコール(PEG)、キャップ分子に2,4-ジニトロベンゼンをもつポリロタキサンに4,4'-ジフェニルメタンジイソシアナト(MDI)とポリテトラメチレングリコール2000(PTMG)からなるプレポリマーを導入したポリウレタン(PRX-PU)を合成し、ATR-FT-IRスペクトル、TGA、DSC測定を行った。 ATR-FT-IRスペクトルには、水素結合したC=O伸縮振動とフリーのC=O伸縮振動が1690と1730cm^<-1>にそれぞれ観測された。水素結合したC=O伸縮振動とフリーのC=O伸縮振動の比(VC=O H-bond/VC=O free)は0.73であり、BU-PUのVC=O H-bond/VC=O free=1.3に比べ、フリーのC=O伸縮振動が大きくなっていた。これは、CD間隔が広く、ウレタン結合間の水素結合架橋が形成しにくいためである。TGA測定を行った結果、分解温度はPRX-PUとBU-PUに違いはなかった。DSCサーモグラムを図2に示す。BU-PUには、明確なガラス転移温度、PTMG2000由来の結晶化と融点、およびハードセグメントの融点が観測されたのに対し、PRX-PUでは、ガラス転移温度とハードセグメントに由来する融点が観測されなかった。200℃に加熱し急冷させたPRX-PUのサーモグラムにはガラス転移温度、PTMG2000由来の結晶化と融点が観測された。以上の結果から、PRX-PU中のPTMG部位はBD-PUのPTMG部位に比べ結晶化しやすい構造となっていることが分かった。
|
Research Products
(3 results)