2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20550192
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
緒方 智成 熊本大学, イノベーション推進機構, 准教授 (90332866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 清二 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (50225265)
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Keywords | 高分子ゲル / 光配向 / アゾベンゼン / 光重合 / 熱応答性高分子ゲル |
Research Abstract |
本研究では、光配向性の架橋剤を含む重合性組成物中で架橋剤を光配向した状態で固定化反応を行い、分子配向性を付与した高分子ゲルを作製することを目的としている。 これまでの検討で、高分子中でアゾベンゼン架橋剤の光配向制御および固定を達成した。しかし、アゾベンゼン架橋剤の高い疎水性により、高分子は水に膨潤しなかった。本年は昨年度に引き続き親水性向上を狙い、アミド結合を有するアゾベンゼン架橋剤を用い、ラジカル重合によるネットワークの固定を試みた。マトリックスとして、感温性のN-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)ポリマーに重合性を付与した高分子(プレポリマー)を合成して用いた。アミド型アゾベンゼン架橋剤は光異性化性を示し、従来のエステル型と同様に高分子フィルム中で光配向制御が可能であった。さらに紫外光重合開始剤を加え、光重合を行ったが重合は進行しなかった。これは、アゾベンゼン架橋剤の自己吸収により光強度が不足したため、また反応性のビニル基濃度が低すぎたと考えた。ここで、これらのビニル基濃度を高めると、光学密度・架橋密度が過大となり、適さなかった。そこで、プレポリマーを用いず、低分子モノマー+アゾベンゼン架橋剤を母体高分子に加え、光配向後に重合を行いsemiIPNの構築を試みた。検討の結果、母体高分子にPVA、低分子モノマーにNIPAAm、アゾベンゼン架橋剤、光重合開始剤を混合して作製したフィルムに紫外光を照射したところ、水に不溶で感温性を示すゲルが得られた。さらに、光配向処理と光重合によりゲルを作製したが、その膨潤挙動の異方性はわずかであった。一方、PVA+モノマーを延伸して重合したゲルは大きな膨潤異方性を示し、高分子ネットワークの配向方向が重合で固定できることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)