2008 Fiscal Year Annual Research Report
相補的塩橋形成を利用したトポロジカル超分子の創製と応用
Project/Area Number |
20559001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古荘 義雄 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 准教授 (00281270)
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Keywords | 相補性 / 塩橋 / トポロジカル超分子 / ロタキサン / カテナン |
Research Abstract |
本研究では、相補的な塩橋形成を利用してラセンやインターロック構造などのトポロジーを制御することにより、二重ラセンやロタキサン、カテナンおよびノットなどの新しいトポロジカル超分子の構築法を開拓し、トポロジーに由来する新規物性・機能の探求を目指している。 平成20年度は、まず、アミジンとカルボン酸からなる相補的な塩橋ユニットを用いたトポロジカル超分子を合成するために必要な、塩橋超分子に関する基礎的性質を押さえるために、二重らせん構造を介した分子識別や二重らせん高分子構造の制御に関する研究を行った。その結果、塩橋を利用した超分子系では極めて厳密な分子識別が可能であるとともに、超分子高次構造の制御も容易に実現しうることを見出した。これらの知見をもとに、塩橋を利用して、シンプルなトポロジカル化合物である[2]カテナンを合成する方法を考案した。具体的には、まず、両末端にオレフィン部位を持ち、m-ターフェニル骨格を有する光学活性なアミジンとアキラルなカルボン酸を合成した。有機溶媒中でこれらを1:1の化学量論比で混合すると、アミジニウム-カルボキシレート塩橋形成を介してプレカテナンが定量的に生成した。Grubbs触媒を用いて、このプレカテナンの閉環メタセシス反応を行うことにより対応するカテナンが良好な収率(67%)で得られた。 以上のように、塩橋を利用した超分子系は分子識別や高次構造の制御が容易であり、実際に[2]カテナンの合成へも応用できた。このことは、単に[2]カテナンにとどまらず、ロタキサンやノット、さらにもっと複雑な構造を持つトポロジカル超分子への幅広い応用が可能であることを意味している。
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Remarks |
基盤C
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