2009 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生物からのバイオナノファイバーの製造および透明な高機能性ナノ複合材料の創製
Project/Area Number |
20559003
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
伊福 伸介 鳥取大学, 工学研究科, 講師 (70402980)
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Keywords | ナノファイバー / キチン / キトサン / バイオマス / カニ、エビ |
Research Abstract |
申請者は昨年度に世界に先駆けて、カニやエビの殻に内包されるキチン質のナノファイバーを単離することに成功した。今年度は科学研究費助成金を受けて、より効率的なナノファイバー製造技術の確立に成功した。すなわち、既に精製してある市販の乾燥キチン粉末から静電的な反発力を利用して容易にナノファイバーへと変換することが出来た。軽く、嵩が少なく、腐らない乾燥キチン粉末から速やかにナノファイバーが製造可能であるため、ナノファイバーの輸送、貯蔵、保管が容易であり、安定供給と低コスト化を図ることができるため、事業化の面で非常に有利である。 次いで、大量かつ簡便にナノファイバーが得られたことを受けて、キチンナノファイバーを補強繊維としたプラスチックフィルムの開発を行った。キチンナノファイバーをシート状に成型した後、アクリル系の樹脂と複合化した。得られた複合フィルムの光透過率は約90%であり、極めて透明性が高かった。これはナノファイバーの繊維系がわずか10-20ナノであり、可視光の波長(400-800ナノ)よりも圧倒的に細いため、光の散乱が生じにくいためである。また、このナノファイバーは伸びきり鎖結晶性の繊維であるため、物性に優れまた、低熱膨張であるため、補強効果により樹脂の熱膨脹を85%も抑えることに成功した。一般的にプラスチックは高熱膨張であるため、低熱膨張性の透明プラスチックフィルムは、フレキシブルディスプレイ等の光学材料用の基板としての用途が考えられる。
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Research Products
(11 results)