2010 Fiscal Year Annual Research Report
量子化磁束ダイナミクスのリアルタイム精密観測と超強力バルク磁石開発への展開
Project/Area Number |
20560001
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
内藤 智之 岩手大学, 工学部, 助教 (40311683)
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Keywords | 超伝導バルク / パルス着磁 / 磁束ダイナミクス |
Research Abstract |
高温超伝導バルク体にパルス磁場を印加してテスラ級の超強力磁石を実現するために、本研究ではパルス磁場印加時の量子化磁束ダイナミクスを明らかにすることを目的としている。量子化磁束はバルク体端部から侵入するが、その侵入は磁束ピン止め力の弱いところから選択的に起こる。磁束侵入経路をバルク体の形状加工によって制御することを試みた。実際のバルク形状加工を行う前に、電磁場と熱伝達を錬成解析できるソフトPHOTONを用いたパルス着磁のシミュレーションからバルク形状の最適化を検討した。磁束侵入障壁を下げるように端部をテーパー形状にしたバルク体に対するシミュレーションから得られた捕捉磁場分布は通常の円盤状バルク体のそれとほぼ同一であった。従って、バルク体端部の形状は磁束侵入にほとんど寄与しないことが明らかとなった。次に、パルス着磁による捕捉磁場分布とバルク体の磁束ピン止め特性の直接比較を実施した。捕捉磁場分布から比較的低磁場において磁束はバルク体成長時に形成される結晶成長領域に捕捉されるが、高磁場になると結晶成長領域の境界面付近に捕捉される傾向があることが分かった。パルス着磁実験終了後、バルク体を小片試料に切り分けて、それら小片試料を用いて磁化測定から臨界電流密度、電気抵抗率測定から不可逆曲線をそれぞれ決定した。結晶成長領域では臨界電流密度は低く、不可逆曲線も低温低磁場に位置した。一方、結晶成長領域の界面付近では臨界電流密度が高く、不可逆磁場も高温高磁場側に位置することが明らかとなった。捕捉磁場分布と磁束ピン止め特性との比較から量子化磁束は先ず磁束ピン止め力の弱い結晶成長領域から侵入を開始し、最終的には磁束ピン止め力の強い結晶成長領域界面近傍に捕捉されることが明らかになった。
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Research Products
(8 results)