2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560007
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中 茂樹 University of Toyama, 大学院・理工学研究部(工学), 准教授 (50242483)
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Keywords | 有機導体 / 半導体物性 / 電子・電気材料 |
Research Abstract |
有機ELデバイスの動作メカニズムを解明することを目的とし、過渡光電流波形とともに、発光の過渡現象を捉えることによって、電流挙動と同時に発光挙動を観察し、キャリヤ注入障壁となる界面でのキャリヤ注入過程と発光過程を同時に評価する方法について検討を行っている。本年度は、キャリヤ発生材料の探索を中心にデバイス試作を行った。キャリヤ発生層(CGL)は本提案において、光励起によるキャリヤ発生と続く有機ELデバイス構成材料へのキャリヤ注入を行う必要があり、最も重要な層である。そこで、有機半導体分野で用いられるフタロシアニン系材料に注目し、銅フタロシアニン(CuPc)およびチタニルフタロシアニン(TiOPc)をキャリヤ発生層として用い、有機ELデバイス構成材料として広く用いられる取りナフチルアミン誘導体(α-NPD)およびアルミキノリノール錯体(Alq_3)とを組み合わせたGlass/ITO/α-NPD/Alq_3/CGL/Alデバイスの試作を行った。励起光源としては窒素レーザにより励起した色素レーザを用いた。α-NPDおよびAlq_3に吸収がなく、CuPcまたはTiOPcにのみ吸収する波長でのレーザ発振が可能なレーザ色素としてDCMを選択した。DCMの発振波長720nmにおける吸収係数から、CGLとしてTiOPcが有効であることがわかった。しかし、作製したデバイスにおいて、Alからの電子注入が大きく、レーザ光照射による電流増加分が明確に見られなかった。そこで、Alからの電子注入制御を目的として、CGL/Al界面にα-NPDの挿入を試みたところ、Alからの電子注入が減少し、レーザ光照射による光電流分の電流増加が見られ、CGLの膜厚最適化により過渡現象の観察が可能であると考えられる。
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