2009 Fiscal Year Annual Research Report
半導体ナノ粒子間のエネルギー移動過程の制御と新規光機能性
Project/Area Number |
20560012
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
金 大貴 Osaka City University, 大学院・工学研究科, 准教授 (00295685)
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Keywords | 半導体ナノ粒子 / コロイド法 / エネルギー移動 / 表面改質 / 発光ダイナミクス / ダーク励起子 / 交互吸着 / ハイブリッド構造 |
Research Abstract |
サイズ・表面構造が制御されたナノ粒子間の距離を高精度で制御した試料構造を構築し、ナノ粒子間のエネルギー移動メカニズムを光物性の観点から明らかにするとともに、エネルギー移動過程を制御することにより、新しい光機能性材料を創製することが本研究課題の目指すゴールである。21年度は、CdSeナノ粒子を対象としてエネルギー移動の温度依存性に着目した。半導体ナノ粒子の発光特性の特徴として、光学的に禁制なスピン三重項状態であるダーク励起子状態が発光過程に寄与すること、その寄与の大きさが温度に大きく依存することが挙げられる。このダーク励起子状態から、双極子-双極子相互作用に基づくフェルスターエネルギー移動は生じないと考えられるので、エネルギー移動を温度依存性の観点から調べることは非常に重要であり、本研究において取り組んだ。これまでのナノ粒子問のエネルギー移動に関する研究のほとんどが室温で行われており、温度依存性に着目した研究は非常に限られている。ナノ粒子間のエネルギー移動過程を調べるために、"ドナー"となるサイズの小さなナノ粒子と"アクセプタ"となるサイズの大きなナノ粒子の交互積層膜を作製し、"ドナー"ナノ粒子の発光減衰プロファイルの温度依存性を測定した。また参照試料として、"ドナー"ナノ粒子のみを積層させた試料を作製し、交互積層膜との比較を行った。極低温(10K)から室温において発光ダイナミクスの研究を行い、"ドナー"ナノ粒子の発光の減衰時間の温度依存性を詳細に調べた。発光減衰プロファイルの温度依存性から、観測されるエネルギー移動速度の温度依存性は光学的に許容なブライト励起子状態の熱分布の割合で決まること、低温ではブライト励起子状態からダーク励起子状態への緩和レートが非常に遅くなっている可能性があることを初めて明らかにした。
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