2010 Fiscal Year Annual Research Report
半導体ナノ粒子間のエネルギー移動過程の制御と新規光機能性
Project/Area Number |
20560012
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
金 大貴 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00295685)
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Keywords | 半導体ナノ粒子 / コロイド法 / エネルギー移動 / 表面改質 / 発光ダイナミクス / ダーク励起子 / 交互吸着 / ハイブリッド構造 |
Research Abstract |
粒径及び表面構造が制御されたCdS及びCdTeナノ粒子を作製し、ナノ粒子における励起子状態及び発光メカニズムを明らかにするとともに、ナノ粒子間の相互作用という観点からナノ粒子間のエネルギー移動過程を調べた。特に、スピン一重項-三重項励起子分裂エネルギー(△ST)の違いが発光ダイナミクスやエネルギー移動過程にどのように反映されるのかを明らかにすることをめざした。エネルギー移動の研究には、"ドナー"となるサイズの小さなナノ粒子と"アクセプタ"となるサイズの大きなナノ粒子間の層間距離(0.5nm-10nm)を、電解質ポリマーの厚さにより、0.5nmの精度で制御した交互積層膜の作製し、その距離依存性及び温度依存性を詳細に調べた。発光減衰プロファイルの温度依存性を測定し、△_STが30meV以上あるCdSナノ粒子においては光学的に禁制な三重項励起子状態(ダーク励起子状態)が発光過程に大きく関与していることを明らかにした。一方で、△STが小さいCdTeナノ粒子においては低温から光学的に許容な一重項励起子状態(ブライト励起子状態)への分布が生じ、発光ダイナミクスに温度依存性がないことを明らかにした。さらに、CdSナノ粒子においては温度上昇にともないエネルギー移動が抑制されるのに対し、CdTeナノ粒子においてはエネルギー移動過程が温度に依存しないことを見出した。すなわち、△STが大きく異なるCdS及びCdTeナノ粒子において発光ダイナミクスとエネルギー移動過程の温度依存性が全く異なることを明らかにした。
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