2010 Fiscal Year Annual Research Report
湿度・温度に依存した構造転移における単結晶構造解析システムの開発
Project/Area Number |
20560015
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
山村 滋典 北里大学, 理学部, 講師 (40286373)
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Keywords | 湿度・温度 / 構造転移 / 水和物 / 結晶構造解析 / 生体分子 / ヌクレオチド / タンパク質 |
Research Abstract |
本研究は、生体分子結晶等における湿度や温度に依存した水和構造の変化を、単結晶構造解析により原子レベルで解明するシステムの開発を目的としている。今年度までに、回折装置に取り付けた単結晶に温度、湿度を調節した空気を吹き付けることで、温度、湿度制御下(設定範囲;温度:5~80℃、相対湿度:0~100%)での単結晶回折実験を実現可能とした。また、本システムを生体分子結晶である二種のタンパク質に適用し湿度依存性を明らかにした。 タンパク質結晶として、トリプシン(分子量23000、残基数223)について斜方晶低密度型(含水量58%)、斜方晶高密度型(含水量47%)、三方晶(含水量40%)の3晶形、および、キシラナーゼ(分子量20800、残基数190)について単斜晶(分子量20800、残基数190、含水量38%)を用い、振動写真法により湿度依存性を追跡した。トリプシンは、相対湿度を90%付近から下げていくと、斜方晶低密度型、高密度型では相対湿度70%付近で微結晶化し結晶性が低下した。三方晶では相対湿度60%付近で単結晶性は保持しているが回折強度が弱くなり結晶性の低下が見られた。三方晶については、その後相対湿度を90%に上げたが結晶性は戻らず不可逆な湿度依存性を示した。一方、キシラナーゼは、相対湿度を95%付近から下げると、相対湿度60%付近で結晶性の低下が見られたが、その後相対湿度を90%とすると結晶性が回復した。今回対象としたタンパク質は、乾燥により結晶性が失われるものであったが、湿潤に対して不可逆な場合と可逆な場合が存在した。
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