2009 Fiscal Year Annual Research Report
相転移酸化物結晶成長と電界誘起スイッチングに関する研究
Project/Area Number |
20560016
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
沖村 邦雄 Tokai University, 工学部, 教授 (00194473)
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Keywords | 機能性酸化物 / バナジウム酸化膜 / ICP支援スパッタ成膜法 / スイッチングデバイス / 相転移 / プラズマプロセス / メモリーデバイス / エピタキシャル成長 |
Research Abstract |
本研究計画の2年目となる平成21年度は,(1)相転移二酸化バナジウム(VO_2)薄膜の温度上昇による結晶構造変態の詳細な検討,(2)反応性スパッタ法によって酸素が欠乏した金属的な酸化膜を作製する方法の確立の2項目について重点的に研究を実施した.(1)の温度上昇による結晶変態の検討では,c面サファイア基板上に成長した高配向性のVO_2薄膜に対して昇温中での格子定数測定を行なった.その結果,転移温度付近において低温での単斜晶型から高温での正方晶型への単純な変化ではなく,一旦中間的な格子定数を示すことを見出した.この結果はc面サファイア基板上に成長したVO_2膜が絶縁的な性質を持つ中間相に一旦構造転移して,その後に正方晶型へと転移する可能性が高いことを示すものである.基板との格子整合に起因する格子歪みの影響を示すものであり,VO_2の相転移に関する現象の解明には格子歪みが重要となることがわかった.(2)では,反応性スパッタ法において,微小流量マスフローコントローラ導入による酸素流量制御によって,従来型スパッタを用いて良好なR-T特性を有するVO_2薄膜を作製することに成功した.酸素比が少ない金属的なVOx薄膜を作製した後に酸素雰囲気中ポストアニールすることで非常に安定して転移VO_2が得られた。この成果はVO_2薄膜の相共存や不均一性といったミクロな構造を観察,制御する上で,膜の組成を幅広く制御できる点から今後の研究の進展にとって重要である. 尚,交付申請書に記載した研究実施計画において上記の(1),(2)に加えて電界誘起相転移前後の電気的諸特性測定の実施を挙げたが,これについては液体窒素温度域までの広範囲測定を実施するために測定装置の準備を終え,2010年度に実施予定である.また非晶質ガラス基板上へのVO_2成長については,上記の酸素流量制御によるスパッタ成膜法が有効と考えられ現在取り組みを開始している.
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Research Products
(4 results)