2010 Fiscal Year Annual Research Report
部分結晶化ガラスを用いたハイパワー用レーザー媒質の基礎的開発
Project/Area Number |
20560034
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
金邉 忠 福井大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10201427)
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Keywords | レーザー / ハイパワーレーザー / 部分化結晶ガラス / 高熱耐力レーザー材料 / Ndレーザー / ケイ酸ガラス |
Research Abstract |
本研究は,部分結晶化ガラスのレーザーイオンドープ技術の確立と高効率発光の改善の見通しの可能性を追求することである。結晶化ガラスを用いた高平均パワー用レーザー材料の基礎的研究として,部分結晶化ガラスである超低膨張ガラスセラミックス(CLEARCERAM:(株)OHARA)に,レーザーイオンであるNd^<3+>をドープした材料のレーザー材料としての発光特性の評価,解析を行った。また,部分結晶化ガラスセラミックスの組成比や焼結温度の異なるサンプルのレーザー静特性評価を実施した。熱ショック定数は,一般的なレーザー材料であるNd:YAGの約30倍,一般のガラス材料の100倍以上の媒質が得られた。誘導放出断面積は,分光的手法を用い導出し,10^<-20>cm^2オーダーであることがわかった。Liを増加させることで,未熱処理で1.12-1.14倍.結晶化温度840℃で1.28-2倍,860℃で1.09倍誘導放出断面積が増加することがわかった。Alを増加させると,未熱処理で1.06-1.14倍,840℃で1.09-1.14倍,860℃で1.03-1.09倍誘導放出断面積が増加することがわかった。誘導放出断面積が高いLi+1.0%媒質で結晶化温度を840℃から82℃℃にすると,量子効率が約5倍高くなった。組成比変更と,結晶化温度の変更による結晶化度の制御により,誘導放出断面積の向上と,量子効率の向上が見込めることがわかった。 従来までレーザー媒質としてガラス系の母材は,YAGなどの結晶群に比べ耐熱性の低さから,高い平均パワーレーザー装置には適応できなかった。本研究の,部分結晶化によって,耐熱性の低さの問題は解消される見通しが得られた。今後,Nd添加条件の最適化と熱処理条件の最適化を行い,発光特性の改善を図ると同時に,散乱係数などのロスパラメータを評価することにより,本研究の部分結晶化ガラスの高い平均パワーレーザー装置への適応や,それによる更なる固体レーザーの高出力化が期待できることがわかった。
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