2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560037
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Research Institution | Chitose Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
唐澤 直樹 Chitose Institute of Science and Technology, 総合光科学部, 准教授 (00337099)
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Keywords | 超短光パルス / フォトニック結晶ファイバー / 光ソリトン / 波形整形 / コヒーレントアンチストークスラマン散乱分光 / 非線形顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究の目的は超短光パルス伝搬によりスペクトルの超広帯域化が可能なフォトニック結晶ファイバー(PCF)を用い、単一ビームで広帯域なコヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS)顕微分光が可能な光学系を試作することである。平成20年度までにチタンサファイアレーザーからのポンプ光波と、PCFから出射されるストークス光波の2ビームを用いる光学系において、ストークス光波の中心波長及び遅延時間を波形整形光学系で制御し、複数の位相パターンを空間光変調器において一定時間ごとに切り替える広帯域CARS計測を実証した。平成21年度はこのCARS計測の高速化をはかるため、1つの位相パターンによって強度と遅延の異なる3パルスよりなるパルス列を生成し、それぞれのパルス列がPCFからの出射の後、異なる中心波長を持ち、かつ群遅延の等しいストークス光波となるようにした。これにより広帯域CARS計測において用いる位相パターンの数を従来の6つから2つに減らすことができ、測定時間も従来の約3分の1に短縮された。さらにストークス光波の発生方法として空間位相変調器を用いる方法以外に、高速な光強度変調素子を用いてその中心波長を高速に変化させることによって発生される擬似スーパーコンティニュウム光源によるCARS計測も行った。この場合の問題点は異なる中心波長を持つ光波の群遅延が異なっており広帯域のCARS信号を同時に発生させるのが困難なことであったが、ガラスブロックを用いた単純な光学系で群遅延の補償が可能であることを示し、これによりさらなる広帯域CARS計測の高速化を実証した。さらに、従来ほとんど知られていなかったPCFの高次モード伝搬におけるソリトン波と分散波の発生を実験的に示し、それらの波長変化を理論解析によって説明した。またこの場合、入射光波の偏光を変えるだけで波長を変化させることが可能であることを示した。
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