2008 Fiscal Year Annual Research Report
半導体レーザ励起マイクロチップ固体レーザの横モード制御と応用技術に関する研究
Project/Area Number |
20560039
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
大塚 建樹 Tokai University, 情報理工学部, 教授 (60266369)
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Keywords | マイクロチップ固体レーザ / 半導体レーザ励起 / Ince-Gaussモード / 光ピンセット / 光渦ビーム / 光渦アレー / 3次元自己混合レーザ計測 / Yb:YAGレーザ |
Research Abstract |
研究計画書に則り、平成20年度は、高効率な半導体レーザ(LD)励起固体レーザ用材料として有望なNdやYbを高濃度ドープしたセラミックを対象に、横モード制御の研究を遂行すると共に、自己混合レーザ計測へ応用し、更なる高光感度化を図った。以下の成果が得られた。 横モード制御 (1)平均グレイン・サイズが1μm程度の微粒Nd:YAGセラミックレーザをLDにより端面励起することにより、単一周波数、直線偏光の基本横モード(TEM_<00>)発振が達成された。グレイン・サイズが数10μmのセラミックレーザにおける局所横モードへの分裂が高密度に存在するグレイン境界で熱歪が劇的に緩和されることを偏光特性の解析より明らかにした(成果リスト中のLaser Physics Letters論文)。 (2)LD軸ずれ励起法による高次Hermite-Gauss (HG)モードの選択発振を実現し、試作した回転制御型モード変換器に導入し、多重チャージ光渦ビームの生成を達成した(Applied Optics論文)。 (3)薄片LNPレーザの大口径非対称LD励起により、Ince-Gauss (IG)モードペアの生成と非線形相互作用に基づく、光渦アレービームの自己生成を発見し、理論的に再現した(Optics Letters論文)。また、この光渦生成原理を応用し、多重ピンセット用光渦アレーを制御性良く生成する手法を考案し、理論的に検証した(Optics Express論文)。 応用技術-自己混合レーザ計測 (1)LD励起薄片Nd:GdVO_4レーザ、3チャンネルの周波数シフト光帰還系およびFM検波器で構成される多点・3次元測定用の自己混合レーザ計測装置を構築し、一台のレーザにより、(1)3つの独立したnm振動ターゲットの実時間同時計測、(2)ブラウン粒子の3次元運動計測、および(3)流体の速度ベクトル計測、を達成した(Applied Optics論文)。 (2)蛍光寿命がNd系レーザより10倍長く、蛍光対光子寿命比に比例する自己混合変調度の増強が見込まれるYb系固体レーザを検討した。Yb:YAGセラミックレーザを用いたドップラー速度計測の実験により、計測のS/NがNd:GdVO_4レーザに比べて20dB向上することが検証され、量子雑音効果を取り入れた理論解析により再現された。Yb:YAGを組み込んだ自己混合振動計を構築し、-120dBの光強度帰還率の下で、現実に不可避な環境振動に埋もれた10nm振幅のピエゾ振動の検出に成功した(Japanese Journal of Applied Physies論文:掲載予定)。
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