2009 Fiscal Year Annual Research Report
電子散乱制御による量子カスケードレーザの高性能化と遠赤外・テラヘルツ化
Project/Area Number |
20560040
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
笠原 健一 Ritsumeikan University, 理工学部, 教授 (70367994)
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Keywords | 量子カスケードレーザ / テラヘルツ / 光デバイス / 環境 / 生命科学 |
Research Abstract |
H21年度では室温CW発振する6.1μm-DFB型QCレーザの相対雑音強度(RIN)の測定を行った。室温動作QCLにおけるRIN測定はこれまで報告されておらず、応用的な観点から意味がある。QCLにはSPC(Single Phonon-Continuum depopulation structures)構造を有したInGaAs/InAlAs-DFB-QCLを用いた。RIN∝P-r(P:平均光出力)といった格好で表すことができる。規格化電流をa=I/Ith-1(Ith:閾値電流)で定義すると、RINはa=0.01で-116~-120dB/Hz,a=0.1で-138~-140dB/Hzの範囲にあった。またr=2.0(0.01<a<0.1)であった。DFB-LDはr=3.0(0.03<a<0.7)であり、傾きは明らかに異なり、77KにおけるQCLのRINの測定結果と傾向は同じであった。RINの低電流域での振る舞いを理解するために4準位系のレート方程式にランジュバン項を入れ、雑音の電流依存性について計算を行った。計算結果は測定値の振る舞いを良く説明でき、0.01<a<0.1では電子のバンド内非発光緩和による反転分布の揺らぎを決めていることが分かった。また計算結果より77Kと室温でのRINの変化は小さいことも分かった。室温動作QCLの雑音特性を把握することは微量なガス検出等への応用から重要であり、H22年度はQCLで指摘されている固有の雑音や戻り光雑音について調べる予定である,またQCLの線幅増大係数関係では散乱を伴う2次の遷移過程から起こる「ブロッホ利得」が利得やαにどのように効くのか理論的な検討を進めた。H22年度は引き続き位相緩和時間等の各種パラメータがブロッホ利得やトータルの利得にどのように効くか調べる予定である。
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