2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560044
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
山本 勲 Yokohama National University, 大学院・工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40242383)
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Keywords | DNA / 磁気分離 / 強磁場 / 電気泳動 / 磁気力 / 磁場配向 |
Research Abstract |
強磁場がDNAに及ぼすと考えられる力は、磁気異方性によるトルクと、勾配磁場下での磁気力であり、さらにDNA電気泳動では電流と磁力線の向きが平行でない場合にローレンツカが働く。本研究ではこれらの磁場効果を追求することにより、DNAの磁気力泳動の基本的なメカニズムを明らかにし、磁場を用いた新しいDNAの分離手法を確立することを目的とした。本年度は、DNAの磁化率やその異方性によって、泳動速度と泳動軌道は様々に変化し、泳動パターンを磁場によってコントロールする可能性を追求した。 1.13Tの強磁場を発生する現有の超伝導マグネットボア(100mm)にセットできる小型の電気泳動槽を作製し、磁場配向による泳動速度の変化と、磁気力駆動による速度変化を効果的かつ精密に捕捉できる測定系を構築した。 2.強い磁気力の働く高勾配磁場下では無電圧でも泳動が起こるとの予想に反して、DNAは磁気力のみでは泳動しなかった。 3.DNAに磁気力を作用させるように勾配磁場中で電気磁気泳動させ、磁気力場(B・dB/dz)をパラメータにして泳動速度に対する磁気力効果を測定した結果、正負の磁気力はDNAを加速または減速することを明らかにした。 4.無磁場での電気泳動に比較して、磁場中での電気泳動は泳動速度を低下させる。電場と磁場が平行な条件ではDNA速度は80%に減速し、垂直な条件ではローレンツ力により軌道が変化しながら70%に減速することを明らかにした。これらの実験結果より、DNAの新しい電気泳動分離技術としてローレンツ力を積極的に利用出来ることを明らかにした。
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