2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560044
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
山本 勲 Yokohama National University, 大学院・工学研究院, 准教授 (40242383)
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Keywords | DNA / 磁気分離 / 強磁場 / 電気泳動 / 磁気力 / 磁場配向 |
Research Abstract |
(1)磁気力泳動:静電引力に比較して比較的弱い磁気力をDNA泳動パターンに顕在化させるには支持体ゲルの濃度が低い方が有利であることをつきとめた。この知見により、0.25wt.%アガロースゲルを支持体として採用し、96時間の磁気力泳動を5℃のTAEバッファーを用いて試みた。結果として、B=6.4T,|B(dB/dz)|=420T^2m^<-1>では泳動せず、B=9.1T,|B(dB/dz)|=583T^2m^<-1>では1kb~15kbのサイズのDNAが分離せずに3mm程度泳動することを見出した。5T以上で配向が飽和していると考えられるので、磁気力DNA泳動について磁気力場の閾値が存在し、その値は500T^2m^<-1>程度であると考えられる。 (2)磁場配向:磁場中でのDNAの速度変化は磁気力とDNAの磁場による配向による。磁場中での磁場配向の様子を計算機シミュレーションで評価した。試料回転による一軸配向の様子を調査した結果、条件を選べば低回転速度でも容易に磁場配向することを明らかにした。 (3)電気磁気泳動:ローレンツ力効果を顕在化させる泳動電圧閾値が存在することを利用して、電気磁気泳動における磁気力によるDNAの軌道の変化を追求した。具体的には、弱い横電場(E=870Vm^<-1>)と強い横磁場(|B(dB/dz)|=583T^2m^<-1>,B=9.1T)が直交する場を用いて、鉛直方向にかかるローレンツ力によるDNA泳動を無視できる条件で電気磁気泳動を行った。1kb~15kbのサイズのDNAを5℃で50分間泳動した結果、大サイズのDNAほど軌道変化が大きく、磁気力のかかる方向へtanθ=0.11~0.28の軌道変化を観測した。磁場勾配による磁気力とローレンツ力を分離して観測する手段を確立した。 (4)異形状DNAの分離:これまで用いてきた2本鎖直鎖状(2重螺旋)DNAと、一本鎖直鎖状DNA(M13mp18,7249bp)、プラスミド環状2本鎖DNA(pUC18,2686bp)の分離を試みた。一本鎖DNAは5kbの、プラスミドは2kbの2本鎖DNAと同じ泳動速度を示す。電場と磁場が直交する場で泳動を行ったところ、明確な分離は得られなかった。しかしながらDNAの蛍光分布に偏りを認めたことにより、今後の発展が期待できる。
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