2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560044
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
山本 勲 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (40242383)
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Keywords | DNA / 磁気分離 / 強磁場 / 電気泳動 / 磁気力 / 磁場配向 / 磁場効果 |
Research Abstract |
DNAの磁化率に違いを利用した新しい磁気泳動分離法の可能性を探ることを目的とし、異方的反磁性磁化率を有する物質の磁場による配向挙動について計算機シミュレーションを行い、実験的に種類の異なるDNA電気磁気泳動分離を試みその運動を解析し、以下の知見を得た。 (1)3軸性異方的磁化率をもつ弱磁性粒子が回転磁場中で配向する様子をについて計算機シミュレーションした。回転磁場の方向に応じて磁束密度が変化する楕円磁場では、磁化容易軸χ1および困難軸χ3を磁気的に配向させることは比較的簡単であるが、中間的な磁化軸χ2を磁場配向させることは困難である。 (2)13T超伝導マグネットの勾配磁場位置を使用し、磁束密度B=9.1T、磁気力場B(dB/dz)=583T^2m^<-1>となる位置に泳動槽を設置し、磁力線と直交するように交流矩形電場を配置して、DNAの磁気力泳動を行なった。最大の泳動速度429μm/hは、電場強度電圧0.926V/mm、支持体のアガロースゲル濃度0.5wt.%で得られた。この速度はゲル濃度0.7wt.%での実験の約3倍であり、電界強度0.556V/mmにおける速度の実験値の約3倍であった。また、磁気力場の値の減少に従い泳動速度も減少した。 (3)長周期の交流矩形電場を補助的に用い、環状DNA(pUC18,26kbp)と同じ泳動速度の1.8kbp直鎖状DNAの磁気力分離を試みた。混合したDNAを20時間泳動した後に観測したところ2つのバンドに分離した。距離距離は3:2であり、それぞれのDNAがうける磁気力に対応した。 (4)磁場中でのDNAの泳動モデルを提唱した。磁場配向に起因する抵抗増加による泳動速度低下と磁気力による泳動速度変化をパラメータに加え、電気磁気泳動挙動をモデル化した。
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