2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ結晶ゲルマニウム薄膜を用いた熱光発電素子に関する研究
Project/Area Number |
20560047
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
磯村 雅夫 Tokai University, 工学部, 教授 (70365998)
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Keywords | 熱光発電 / ナノ結晶 / ゲルマニウム / 反応性スパッター / 不活性ガス / 水素 / イオン衝撃 / 結晶性 |
Research Abstract |
熱源から放射される赤外光を電気エネルギーに変換する熱光発電(TPV:Thermophotovoltaic)に用いる光電変換素子の実現を目的に、ナノ結晶ゲルマニウム薄膜の研究開発を行っている。ナノ結晶ゲルマニウム薄膜は水素と不活性ガスの混合ガスを用いた反応性スパッター法により作製しており、混合する不活性ガスの質量により製膜条件が大きく影響されることがわかった。質量数131のXeでは、大きなスパッター効果により僅か1%の混入で一般的に用いられる質量数40のArを10%以上混入したときに比べ製膜速度が大きく増加する反面、試料表面へのイオン衝撃が増大し結晶性の低下を招く。一方、質量数20のNeでは製膜速度はArの場合の半分程度に低下するものの、イオン衝撃の低減から結晶性が向上し一部の試料で光導電性が観測された。これら今年度の研究結果は、イオン衝撃低減がナノ結晶ゲルマニウム薄膜の結晶性向上を促がし、光電変換特性の獲得につながっていることを示しており、イオン衝撃の制御が今後の大きな課題であることが確認できた。イオン衝撃の制御は不活性ガスの質量以外の条件でも可能であり、ガス圧力の増加による平均自由行程の短縮化、正電圧印加によるイオン衝突の排除等を検討することで、製膜速度の低下を招くことなく結晶性を向上させる方策が示唆される。また、水素は製膜中にスパッターされたゲルマニウムと反応し膜中に取り込まれ結晶欠陥にある未結合手を終端するという重要な役割を持っており、光導電性の獲得に欠かせない。次年度からはイオン衝撃の制御と欠陥の水素終端効果の双方の効果が得られるよう、プラズマ発生条件の詳細な検討を行う。
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Research Products
(1 results)