2008 Fiscal Year Annual Research Report
閾値系における情報処理と自己調節ー揺らぎ工学の進化をめざしてー
Project/Area Number |
20560055
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宗像 豊哲 Kyoto University, 情報学研究科, 教授 (40026357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 彰洋 京都大学, 情報学研究科, 助教 (50335204)
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Keywords | 閾値系 / 自己調節 / 情報処理 / 聴覚系の感度 / ネットワーク |
Research Abstract |
閾値系における情報処理を考える際、これまで例えば閾値の値とか、外乱としてのノイズの強さに対しては、これらは時間に依存しない一定値をとるとして扱われてきた。自己調節はこの制限を取り除き、出力値に依存して変化してもよいとするアイデアであり、フィードバックの考えを用いる。新しい試みとして、ノイズ強度(これを物理の考えを用いて表すと温度になるので以下では温度と呼ぶ)をフィードバックの考えで変化さすことを考えた。これにより、温度が初期の値を忘れ、入力に応じて適切な、すなわち確率共鳴により指定される最適値に収束することを示した。また、全く新しい試みとして、温度Tと閾値Sの両方を時間変化可能な制御変数と選び、これのダイナミクスを考察した。時間的に周期的な外部刺激に対し、T-S平面での応答がリミットサイクルを描くことが分かった。また、TとSの時間変化に逆の相関(すなわちT大のときS小)が発生し、これが情報処理能力を高めていることをしめした。これらの結果は'Stochastic Resonance and self-tuning -a simple threshold system-(Kondo and Munakata, submitted to Phys. Rev.E)にまとめた。また遅れを伴う閾値系でのダイナミクスは多くの研究者の注目を集めているが、特にレーザーの光り偏向についての知見は、実は密接に閾値系(double-well系)のダイナミクスと関係があり、これについても、詳しい研究を行った。これについては、'Properties of coupled double-well systems with delay and noise' (Kimizuka and Munakata, to be submitted to Phys. Rev.E).に発表予定である。
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