2008 Fiscal Year Annual Research Report
正定値行列補完を用いた準ニュートン法の実用化に関する研究
Project/Area Number |
20560056
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 信雄 Kyoto University, 情報学研究科, 准教授 (30293898)
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Keywords | 非線形最適化 / 準ニュートン法 / 大規模 / 疎性 / 正定値行列補完 / 正則化ニュートン法 |
Research Abstract |
本年度は,正定値行列補完を用いた準ニュートン法(以下,MCQN法)の改良版を構築し,数値実験を通して,基本的な動作確認を行っている.さらに,来年度以降のMCQN法の実用化および応用において重要となる研究を実施している.具体的には,以下のものである. ・MCQN法の基盤となる準ニュートン公式に,Broyden族の公式を考え,その族を制御するパラメータの更新方法をいくつか提案した.MATLABを用いた数値実験によってその頑健さを調べた.また,その手法のFORTLANやC言語への実装に取り組んでいる.本年度中には完成しなかったが,簡単な問題においては,高速に動作することを確認している. ・MQCN法が有効となるのは,ヘッセ行列が簡単に計算できないときである.そのような問題としては,目的関数値が,シミュレーションや複雑な数値計算で与えられる問題が挙げられる.そのような問題に対する,信頼領域法に基づくアルゴリズムを提案した.このアルゴリズムのMCQN法を組み込めば,大規模な問題にも適用できる可能性がある. ・直線探索を行わない正則化ニュートン法を提案した.この手法が既存の信頼領域法よりも,理論的にも数値的によい収束性を持つことを示した.ただし,この正則化ニュートン法は各反復で目的関数のヘッセ行列の最小固有値を計算しなければならない.MCQN法と組み合わせれば,最小固有値の計算が必要ないため,正則化ニュートン法とMCQN法のハイブリッド法を考えることは来年度以降の主要課題のひとつとなる. ・火力発電所のスケジューリング問題に対する局所探索法を提案した.この手法の効率性は,特殊な凸2次計画問題の解法による.その問題を解くのに準ニュートン法を用いることを提案した.
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