2008 Fiscal Year Annual Research Report
離散最適化技法による微分代数方程式モデルの指数減少法
Project/Area Number |
20560057
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩田 覚 Kyoto University, 数理解析研究所, 教授 (00263161)
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Keywords | 微分代数方程式 / 行列束 / 離散最適化 / 非線形回路 / 混合解析 / アルゴリズム / 数値計算 / モデル化 |
Research Abstract |
集積回路や化学プラントに代表される大規模動的システムは,微分演算子と代数方程式が混在した微分代数方程式(DAE)によって自然に記述される.しかし,微分代数方程式の数値解析においては,常微分方程式の場合と比較して,初期値の設定や安定性の保証が著しく困難となる.微分代数方程式の解ぎにくさを表す指標として,「指数」の概念が提唱されている.常微分方程式の指数は0であり,指数が大きくなるほど微分代数方程式の数値的な困難が増す. 本研究課題では,所与の微分代数方程式に対して,適切な変形を施して階層的に分解することで,指数の小さい解き易い微分代数方程式を導出する手法を確立することを目的としている.特に,微分代数方程式で記述されている動的システムの離散構造に注目することによって,最適性の保証された定式化を目指している. 本年度は,非線形回路に関して,Koln大学のCaren Tischendorf教授との共同研究を推進した.特に,従属電源を含む一般の非線形回路に対して,混合解析を用いて定式化した場合の順良指数が,1以下になることを証明し,指数が0になるための構造的な特徴付けを与えた.これは,現在主流となっている修正節点解析を用いた場合には,通常は指数が2であり,指数が3以上になる回路の例も作れるという状況と比較して,混合解析の有用性を明確に示唆している.
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