2009 Fiscal Year Annual Research Report
多孔性媒質内流れの高精度数値解析による地下水汚染シミュレーション手法の構築
Project/Area Number |
20560058
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
水藤 寛 Okayama University, 大学院・環境学研究科, 教授 (10302530)
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Keywords | 数値シミュレーション / 地下水 / 差分法 |
Research Abstract |
(1) 移流項の離散化についての検討 運動方程式の移流項の離散化にCIP法を適用し、その他の離散化方法との比較を行った。まず、2次元の典型的なテスト問題を用いてプログラムの検証を行い、3次元問題に拡張して検証を行った。その結果、すでに多くの論文で報告されているように、他の風上差分法系統の方法に比べて質量保存則を高い精度で満たしていることが確認できた。 (2) 土層実験との比較 M.Vauclinによって報告されている土層実験結果を用い、同様の条件で数値シミュレーションを行うことによってその結果を比較した。この実験は、3m×2m×0.5mの土層を用い、複数の方法で水分を与えた場合の領域内各点における飽和度の時系列変化が測定されているものである。初期状態においては、飽和領域と不飽和領域が混在している。この実験結果に対して、(1)初期状態における水分飽和度分布の考慮の有無、(2)水分量移動の式の離散化方法の違い、を与えて実験における飽和度分布の時間変化とそれに対応する数値シミュレーションによる結果とを比較し、2乗ノルムを用いてその差を評価した。(1)については、垂直方向の初期飽和度分布が結果に大きく影響した。これは主となる流れが鉛直方向であるため、その考慮の有無が水分移動の速度に大きく関わっているためと考えられる。(2)については、予想に反してCIP法を用いた場合もその他の風上差分法を用いた場合もあまり大きな違いは得られなかった。これは、元々の現象の特性速度が遅く非線形性があまり強くなかったためであると考えられる。次年度は、地下水解析の分野で広く用いられている浸透流解析の手法との比較を行う計画である。これらの比較等により、多孔性媒質内における流れの数値シミュレーションをより高精度に行い、地下水流動に関わる種々の環境問題に役立てることが可能になることが期待される。
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