2009 Fiscal Year Annual Research Report
高温水中応力腐食割れの弾塑性異方性効果に対する力学・電気化学相互作用機構
Project/Area Number |
20560063
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
呂 戦鵬 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 准教授 (30419999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄子 哲雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80091700)
竹田 陽一 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (40374970)
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Keywords | 環境強度 / 応力腐食割れ / 弾塑性異方性 |
Research Abstract |
(1)酸素富化条件の288℃高温水中にて,316L鋼の二種類の熱影響部(HAZ)試験片の応力腐食割れ(SCC)き裂進展速度を評価した.典型的な粒界応力腐食割れ(IGSCC)およびき裂分岐が観察された.316L鋼HAZ部で高いHV値を示す領域のき裂進展速度は,中程度のHV値を示す領域のそれよりも僅かに高かった.溶存酸素濃度(DO)条件が2ppmと7ppmにおけるき裂進展速度は,0.2ppmのDO条件よりも若干高かった. (2)模擬PWR一次冷却水環境中にて,一次元圧延(1-D rolling)および準三次元圧延(3-D rolling)により冷間圧延された316L鋼のSCCき裂進展速度を評価した.30cc STP H_2/kg H_2Oの溶存水素濃度(DH)にて,一次元圧延した316L鋼は広範囲に及ぶ粒界割れSCCを呈したものの,準三次元圧延した316L鋼では局所的なSCCを呈した.ともにほぼ同じ降伏応力ながら,準三次元圧延した316L鋼よりも,一次元圧延した316L鋼により有意な高いき裂進展速度が観察された. (3)288℃純水中の酸素富化条件および脱気条件における,素材の長手方向に沿って一次元の温間圧延を施した304L鋼のSCCき裂進展速度を評価した.T-L方向(圧延方向と試験片の応力軸が垂直)に採取した試験片の破壊モードが主として粒界割れであるものの,L-T方向(圧延方向と試験片の応力軸が平行)に採取した試験片の破壊モードにおける粒界割れは約半分程度となった.酸素富化条件および脱気条件ともに,T-L方向のき裂進展速度はL-T方向のそれよりも大きく,これは微視組織的な異方性と荷重負荷方向の結果による有効なき裂進展の経路に関係する.
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