2008 Fiscal Year Annual Research Report
ひずみ誘導型液体流動による骨形成反応促進効果の実験的検証
Project/Area Number |
20560070
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田中 茂雄 Kanazawa University, 環日本海域環境研究センター, 准教授 (20262602)
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Keywords | 骨形成 / 力学刺激 / 骨芽細胞 / 再生骨 / 再生医療 |
Research Abstract |
多孔質構造を持つ骨基質内で生じるひずみ誘導型液体流動(strain-induced fluid flow、SIFF)は骨の細胞を刺激し適応的骨形成反応を促すと考えられている。しかし、SIFFにより骨形成反応が促進されるようすを実際に観察した例は未だない。本研究では、SIIFにより培養骨芽細胞の骨形成反応がどのように促進されるかを石灰化に至るレベルまで明らかにすることを目的とする。得られた成果は、骨の力学的適応機構の解明という基礎研究分野において有益な情報となるだけでなく、骨の再生医療分野において骨再生を促進する新たな方法としての応用も期待できる。 平成20年度では、SIFFの刺激効果において、ひずみと液体流動それぞれの寄与率を明らかにすることを目的した【目的1】。実験では、ラット骨芽細胞を播種したI型コラーゲン・スポンジに対しSIFFを与えた群(SIFF群)、およびI型コラーゲンゲルをスポンジに浸透させることで液体流動を遮断しひずみのみを与えた群(S群)の二群において、骨形成反応を石灰化レベルで比較した。30日間の長期培養の結果、S群の担体密度はSIFF群のそれの約1.3倍となった(統計的有意差なし)。以上の結果は、SIFFの石灰化促進効果において液体流動の貢献度は高くないことを示している。しかしながら、ゲルによる液体流動の遮断がサブマイクロレベルにおいても実現されているかどうかは不明であり、このような流動が石灰化を促進している可能性も考えられる。今後、同モデルにおける液体流動の実態を確かめる必要があると言える。
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Research Products
(10 results)