Research Abstract |
昨年度の研究成果に鑑み,本年度(平成21年度)は「見かけの」下限界値以下のΔK領域内における真空中及び大気中でのNi基超合金DS材に及ぼす荷重周波数依存性の解明に全力を傾けた,そのため,破面観察は一部しか行えなかった.また,CC材に対する実験は行うことができなかったが,それらにも余る良い結果を得ることができた. 以下に,この成果の概略を示す.この成果は機械学会関西支部第85期総会で発表する. (1) 大気中および真空中800℃,850℃及び900℃においてK<max>一定ΔK漸減試験を行った.「見かけの」下限界値以下のΔK領域内において荷重周波数を30→3→30Hzと変化させることにより,き裂進展挙動の周波数依存性を調べる実験を行った.その結果,大気中800℃,850℃及び900℃においては,き裂進展挙動に周波数依存性が認めら,その結果として時間依存型き裂進展挙動が支配的であることが解った.一方,真空中800℃及び850℃においては明瞭な周波数依存性は認められず,その挙動は繰り返し数依存型のき裂進展が支配的であることが解った.また,真空中900℃においては,周波数依存性が認められた.これは,クリープの影響の程度の差が,周波数依存性の差に影響を与えたものと考えられる.これらの新たに得られた知見は,き裂進展挙動の解明に役立つものと考えられる. (2) 大気中850℃での実験後の試験片破面に対して,走査型電子顕微鏡による観察を行った.その結果,異なる荷重周波数間で,破面の着色に濃淡差が認められた.さらに詳細に観察すると,酸化物と思われる斑点状の物質が多数認められ,それらの分布密度は,荷重周波数によって異なるという興味深い新たな知見が得られた.当試験において,周波数依存性が認められたことから,1サイクル中にき裂先端に生成される酸化膜等の量が,き裂進展挙動に影響を与える可能性が示唆された.
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