2010 Fiscal Year Annual Research Report
虚血環境模擬による皮膚細胞の経時的応答評価と物理環境調節による褥瘡遅延の検討
Project/Area Number |
20560078
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 宏 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 教授 (00220400)
|
Keywords | 褥瘡 / 微小血管 / 有限要素解析 / 体積変化 / 粘弾性 / 空気圧 / 周期的負荷 |
Research Abstract |
褥瘡は骨突出部位の軟組織が圧迫され続けて壊死する疾患で,一度,褥瘡が生じると元通りにならず,褥瘡予防は高齢化社会の緊急かつ重要な課題である.本研究の目標は褥瘡になりやすい部位の環境を調節して褥瘡の発症をできるだけ遅らせることである,今年度はまず,皮膚組織の有限要素解析を行って血管閉塞を生じさせる力学的要因を検討するとともに,血管閉塞を防ぐ皮膚表面への荷重の与え方を調べた.すなわち,骨突起部直下の皮膚組織と皮下組織の長時間圧迫された時の力学的性質として,軟組織に豊富に含まれる水分の移動を超弾性体の体積減少によってモデル化し,軟組織に見られる粘弾性特性(応力緩和やクリープ特性)も同時にモデル化した.そして,平面ひずみ問題として有限要素解析を実施し,マットレスと皮膚表面の間に生じる圧力を文献の実験値と同程度にして組織の応力・ひずみ状態や血管の変形度合いを調べた.その結果,軟組織の体積減少が微細血管の変形に大きく寄与することがわかった.また,粘弾性特性は組織が非圧縮の場合にはその効果はなく,体積減少が生じる場合には粘弾性特性を有することで血管の変形がさらに進行した.人の身体を支えるには自重と同じ力が必要なので,この力の分散のさせ方が問題となる.本研究の解析結果に基づいて,骨突起部直下を柔らかなクッションではなく空気圧で支えることで褥瘡の起こりやすい部位への過度の圧力を避け,褥瘡を遅延する荷重条件を調べた.また,褥瘡遅延の物理環境を与える褥瘡遅延システムを設計・試作した.本システムはポンプ,レギュレータ付タンク,空気圧力制御装置,空気圧パッド,コンピュータ,A/D&D/Aコンバータ,これらを結ぶチューブ,及び,圧力センサからなり,コンピュータから定常及び周期的圧力波形を与えて供給圧力を15kPa以下で制御した.このような低い圧力で支えれば褥瘡の発生を遅延するのに有効と考えられた
|
Research Products
(2 results)