Research Abstract |
本研究は,柔軟物表面を負荷させて,その形状を計測し,くぼみ深さによる粘弾性特性を調べる方法を提案し,それに基づいた試験装置を製作した.その結果から,柔軟物の測定が可能であり,またそれらの性能および特長を確認できた. スライム,絹豆腐,人肌ゲルの粘弾性試験を行った.試験条件はノズル圧力が20kPa,測定時間は0.5秒間隔毎,クリープ時間は20秒間,除荷後のクリープ回復時間は40秒間とした.人肌ゲルは噴射による負荷開始直後に表れた瞬間弾性深さがくぼみ深さの大部分を占め,遅延弾性による深さは小さく,粘性流動深さは殆ど表れない.除荷後のくぼみは瞬間的に元の状態に回復している.これらの瞬間弾性変形のくぼみ挙動は,1.0秒以内で行われている.一方,絹豆腐の変形挙動はゼリーのそれとは異なり,瞬間弾性深さ,遅延弾性深さ,および粘性流動深さの三つよりなる.初めに0.5~1.0秒内に瞬間弾性変形のくぼみ深さが表れ,その後に遅延弾性と粘性流動を合わせたくぼみ深さが同時に現われると考える.クリープ回復後のくぼみ挙動は,瞬間的にくぼみが収縮した後,遅延弾性による収縮が行われる.しかし,粘性流動によるくぼみは除荷しても回復しない永久変形が残留する.スライムは瞬間弾性変形があまり見られず,その変形は遅延弾性変形と粘性流動によって起こるので,スライムは粘性の強い物質である. 次に,スライム作製時からの経時変化に対する粘弾性特性を計測した.なお,実験条件はノズル内径を1.0mm,圧力を30kPa,吹き付け時間を20秒に設定した.スライムは時間経過と共に硬化するが,作製時間の経過にしたがって粘弾性特性が大きく変化し,再現性に欠ける.
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