2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560089
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川田 宏之 Waseda University, 理工学術院, 教授 (20177702)
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Keywords | FRP / 環境強度 / 長期信頼性 / 応力腐食割れ / 繊維強度低下 / 界面劣化 |
Research Abstract |
極限環境下におけるガラス繊維強化プラスチック(GFRP)の長期信頼性の確立を目的として,高温水環境下におけるGFRPの劣化挙動の調査を行った.従来の研究により腐食環境下におけるGFRPの劣化は,応力負荷および環境劣化の相互作用によって生じる応力腐食割れ(Stress corrosion cracking: SCC)によることが明らかとなり,腐食環境下におけるGFRPの長期信頼性を確立するにはSCCの発生機構を解明することが必要である.GFRPに生じるSCCは,すなわちその構成基材に生じるミクロレベルのSCCであると考えられるため,本研究ではGFRPの構成基材であるガラス繊維,繊維/樹脂界面に着目してSCCの発生機構を調査した.本研究ではECRガラス繊維およびビニルエステル樹脂から単繊維埋蔵型試験片(Single fiber ccmposite; SFC)および一方向GFRPを作成した.SFC試験片を80℃純水中に浸漬させた後にフラグメンテーション試験を行い,浸漬後の繊維強度および界面強度をそれぞれ測定した.さらに一方向GFRPを浸漬させた後に引張試験を行い,浸漬後の残存強度を測定した.また,SFC試験片により求められた構成基材の強度低下をGlobal load sharing(GLS)理論に組み込み一方向材の残存強度を予測したところ,界面強度低下の影響を考慮することにより予測結果は実験値とよい一致を得た.特に長期浸漬後の予測結果が実験値に近づいていく傾向が確認され,これは純水に浸潰させた際に生じる界面劣化により,GFRPがGLS理論の仮定している応力状態に近づいたためと考えられる.以上より,本研究で提案した一方向GFRPの強度予測手法の妥当性が確認された.
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