2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560089
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川田 宏之 Waseda University, 理工学術院, 教授 (20177702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小谷 正浩 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (80547042)
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Keywords | FRP / 環境強度 / 長期信頼性 / 応力腐食割れ / 繊維強度低下 / 界面劣化 |
Research Abstract |
水環境下における高分子基複合材料の長期信頼性を確保することを目的として,高温水環境下におけるガラス繊維強化プラスチック(GFRP)の定荷重試験を行い,GFRPの劣化挙動を調査した. 本研究では強化繊維に平織Eガラス繊維クロスを,母材にビニルエステル樹脂を構成基材とする平織GFRP積層板を試験片として用いた.試験環境は40,60,80℃の純水中ならびに大気中とした.はじめにGFRP試験片の静的引張試験を行い,織物GFRPの機械的性質の環境(純水中・大気中,試験温度)依存性を調査した.純水中における平織GFRPの機械的性質は大気中と比較して低く,試験温度の上昇によりさらに低下することが確認された.次に大気中ならびに純水中にて定荷重試験を行い,各試験条件におけるひずみ履歴ならびに破断時間を測定した.定荷重試験の試験条件は静的引張試験の結果にもとづき決定した.純水中定荷重試験にて生じたひずみ値は大気中の同じ負荷応力の際の値と比較して高く,その増加速度は速いことが明らかとなった.また,純水中・低負荷応力レベル(0.30)にて試験を行った際には約1000時間で破断したが,大気中・高応力レベル(0.60)にて試験を行った際には1000時間経過後も破断しなかった.静的引張試験ならびに定荷重試験から,純水浸漬によって低応力域にてGFRP内部に損傷が発生・蓄積し,機械的性質の低下さらには試験片の破断に至ることが明らかとなった. さらに水中定荷重試験の破断時間を予測した.Reiner-Weissenbergクライテリオンは粘弾性体のクリープ寿命を予測する際に用いられているモデルであり,本研究では純水浸漬による経時劣化を考慮するために加速項を加えてモデルを修正した.本研究の範囲内においては,修正R-Wクライテリオンを用いてすべての試験温度における純水中定荷重試験の寿命が予測可能であることが示唆された.
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