2008 Fiscal Year Annual Research Report
セルロース微細フィブリルを利用した低線膨張特性を有する環境適応型高分子系複合材料の開発
Project/Area Number |
20560090
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
大窪 和也 Doshisha University, 理工学部, 教授 (60319465)
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Keywords | フィブリル / セルロース / ポリ乳酸 / 分散能 / 竹繊維 / ミル加工 / ひずみエネルギ |
Research Abstract |
研究の目的において示した『第3の材料』である微細フィブリルは,体積あたりの表面積(比表面積)の大きい材料であり,有用な力学的機能を持つ所以はこの比表面積が大きさにあるのであるが,その比表面積の大きさに故に一般に分散性に乏しく,液中では凝集化する挙動を示す.そこで本研究では研究実施計画に従い,本年度においてはこの微細フィブリルの凝集能を適切に分断させ,樹脂液中で分散させる基本技術を確立した.研究では,高分子材料の中での微細フィブリルの,基本的な分散特性を把握し,使用する天然由来な微細フィブリルの高分子系複合材料に対する添加量と機械的特性との関係を示した.また添加する微細フィブリルを分散させるための有効な手段とその手法を明らかにした.具体的には,これを行うための素材には,水分散系のポリ乳酸お親水基を持つ竹繊維を母材および主強化材とし,水中分散させた微細フィブリルを『第3の材料』のために使用するのが適切である事を判断した.微細フィブリルの凝集化を防止して適切な分散能を得る対策として,狭隙間を有するように配置した回転数差を有する3ロール式ミル装置を用いると,母材に添加した微細フィブリルを良好に分散できる事を示した.この際,狭隙間を安定的に維持するために任意の量の純水を用いて薄層化する手法が適当である事も示した.またその狭隙間を構成するロールの回転数比を1:2:3とすると,十分なせん断ひずみを発生させる事ができ,有効な条件である事も示した.最後にこれにより得られた材料を用いると,得られる複合材料の破壊に要するひずみエネルギが特に向上する事も示した.
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Research Products
(11 results)