2008 Fiscal Year Annual Research Report
生体組織の力学的適応におけるコラーゲン原線維と線維間物質の力学的相互作用の解明
Project/Area Number |
20560092
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山本 憲隆 Ritsumeikan University, 理工学部, 教授 (40210546)
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Keywords | バイオメカニクス / 力学的性質 / 微細構造 / 力学的適応 / 腱 / コラーゲン / 原線維 / 線維間物質 |
Research Abstract |
腱や靭帯は直径100〜500μmのコラーゲン線維束,直径1μm程度の線維,直径50〜500nmの原線維の順に小さくなり,最終的に直径1.5nm,長さ300nmのトロポコラーゲンと呼ばれるコラーゲン分子に至る.また,線維束は多数の線維や原線維とそれらの間を満たしているプロテオグリカンなどの線維間物質で構成されている.このため,腱や靭帯の力学的反応を把握するには,これらマイクロ・ナノレベルでの構造と力学的性質の関係を明らかにすることが重要である.そこで本研究では,マウスの尾腱を微細構成要素に分解して,それら構成要素の力学的性質と構成要素同士の力学的相互作用について検討し,以下のことを明らかにした. 1. 尾腱より摘出した線維束をコンドロイチナーゼABC溶液に浸漬した後,引張試験を行なった.浸漬により,プロテオグリカンが除去されて,線維同士の結びつきが弱くなり,線維の走向に大きな乱れが観察された.線維束の引張強度と接線弾性係数は,浸漬により,有意に減少し,浸漬時間が長くなるほど減少する割合は大きくなった.これらの結果から,プロテオグリカンが線維束の長軸方向の力学的性質に大きな影響を及ぼしていることが明らかになった. 2. 尾腱より摘出した線維束から原線維を分離し,マイクロ針に巻きつけた後,コラゲナーゼ溶液に30分間浸漬した.その後,原線維が破断するまで針を動かして引張試験を行った.その結果,最大荷重(破断荷重)が有意に減少し,生理食塩水に浸漬したコントロールの33%になった.このことから,コラゲナーゼによりコラーゲン分子が分解されて,原線維の規則的な周期構造が破壊され,原線維の力学的強度が低下するころが明らかになった.
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Research Products
(4 results)