2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体組織の力学的適応におけるコラーゲン原線維と線維間物質の力学的相互作用の解明
Project/Area Number |
20560092
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山本 憲隆 立命館大学, 理工学部, 教授 (40210546)
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Keywords | バイオメカニクス / 力学的性質 / 微細構造 / 力学的適応 / 腱 / コラーゲン / 原線維 / 線維間物質 |
Research Abstract |
腱や靭帯は直径100~500μmのコラーゲン線維束,直径1μm程度の線維,直径50~500nmの原線維の順に小さくなり,最終的に直径1.5nm,長さ300nmのコラーゲン分子に至る.また,線維束は多数の線維や原線維とそれらの間を満たしているプロテオグリカンなどの線維間物質で構成されている.このため,腱や靭帯の力学的反応を把握するには,これらマイクロ・ナノレベルでの構造と力学的性質の関係を明らかにすることが重要である.そこで本研究では,マウスやラットの腱および市販のコラーゲン溶液を用いて,それら構成要素の力学的性質と構成要素同士の力学的相互作用について検討し,以下のことを明らかにした 1. マウス尾腱,マウス膝蓋腱およびラット尾腱から摘出した原線維の引張試験を行い,原線維の力学的性質に及ぼす動物種および部位の影響について検討した.その結果,マウス尾腱とマウス膝蓋腱の原線維の間で,力学的性質に有意差はみられなかった.マウス尾腱とラット尾腱の原線維の間では,引張強度と接線弾性係数に有意差は見られなかったが,破断ひずみにのみ有意差が現われた.以上の結果から,原線維レベルの微細な構造に及ぼす部位や動物種の影響は小さいと考えられる 2. コラーゲン溶液から再生した原線維に吸着するコラーゲン分子の質量を水晶振動子マイクロバランス(QCM)を用いて測定するとともに,原線維の微細構造を原子間力顕微鏡(AFM)で観察した.その結果,原線維にメスの刃で損傷を与えると,メスの刃によってできた損傷部分にコラーゲン分子が吸着することが明らかになった
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