Research Abstract |
申請者は,二つのLIGA/μ-SPiMIMプロセス((1)露光・現像により得たレジスト薄膜を犠牲樹脂型として用いる一段転写法と,(2)LIGAプロセスにより得られた成形体を犠牲樹脂型として用いる二段転写法)を開発したが,それぞれ製造プロセス特有の利点と欠点が存在する.犠牲樹脂型の製造において,(1)法は製造コスト低減,(2)法は高精度化が課題である.また,さらなる加工精度や高集積化を目的に,一般に使用されているMIM用の金属粉末よりも細かいサブμmからナノ粉末を用いて研究を行なった結果,ナノ粉末の凝集や焼結など解決すべき課題が見られた.さらに,ナノ粉末のサイズ効果が現れるような,より精密な構造サイズの樹脂型が必要であることが分かった. そこで,本研究では幅および厚さが数μmおよび1μm以下のナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術により作製された高精密な樹脂型を用いて,ナノ粉末の転写性の効果を探求することとした.NIL犠牲樹脂型は,LIGA犠牲樹脂型よりもさらに微細であるため,射出成形においてMIM原料の型への充填が非常に困難であることが予想される.マイクロ構造体における欠陥を定量的に評価し,ナノ粉を用いた原料および製造条件の最適化を行ない,最終の焼結体の品質を改善することを研究の目的とする. 初年度は,(1)原料およびNIL犠牲樹脂型の基本的な特性を把握し,(2)調合したMIM原料の溶融粘度特性等を調査し,(3)申請者が開発した極微量混練射出成形機および金型を改良し,(4)NIL犠牲樹脂型にMIM原料をインサート射出成形し.(5)一体で離型した試験片を溶媒抽出し,NIL犠牲樹脂型と低分子量のバインダを除去し,NIL犠牲樹脂型内での超微粒子の充填挙動を評価した.また,(6)得られた成形体のマイクロ構造体の形状測定を行い,この際,(7)射出成形条件,NIL犠牲樹脂型の形状や寸法がMIM成形体の転写性に及ぼす影響を調査した.
|