2008 Fiscal Year Annual Research Report
ギガサイクル疲労特性に優れた高強度鋼創製指針の確立
Project/Area Number |
20560096
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
蛭川 寿 National Institute for Materials Science, 材料信頼性センター, 主任研究員 (40354253)
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Keywords | 疲労 / 表面硬化 / 鉄鋼材料 |
Research Abstract |
本研究では、化学成分を変化させた超微細粒鋼(α域加工熱処理、フェライト結晶粒径が1μm以下)を母材とし、これらの材料に対して窒化を行い、微細炭・窒化物の形態を変化させた材料を作製し、系統的に疲労特性を調べ、疲労特性向上指針を得ることを目的にしている。本年度は基本組成(Fe-C-Si-Mn)鋼窒化材のギガサイクル疲労特性の調査で問題となった硬化層内の介在物を起点とした内部破壊の克服を目的に、高清浄度化を施し、介在物極小化を図った基本組成鋼を中心に疲労特性を調べ、介在物サイズの影響を検討した。さらに、強化因子と考えられる微細Mn窒化物と硬化層の影響についても検討した。得られた成果は以下の通りである。 1.窒化材の破壊形態は全て表面破壊となり、表面硬化材においても介在物極小化による内部破壊の抑制が可能であることがわかった。 2.窒化材の疲労強度は高C材では母材に比べて上昇し、高C+Pを複合添加でさらに上昇したが、低C材ではその差が小さくなった。このことから、本供試材のような単純組成の窒化材の表面破壊特性は高C添加とP添加で改善されることが判明した。 3.Mnの影響を検討するために作製した低Mn材では窒化材と母材の疲労強度の差はほとんどないことから、本供試材の硬化層はMn窒化物により形成されていることが明らかになった。 4.上述のいずれの窒化材でも、硬化層直下には硬さから期待される局所的な疲労限より大きな応力が作用していたが、硬化層直下を起点とした内部破壊が生じないことが明らかになった。これらの結果を考慮に入れるとMn窒化物による表面硬化は内部破壊を起こさない良質な硬化層であると考えられる。 5.次年度以降はさらに化学成分を変化させた通常材と高清浄度材の疲労特性を調べる予定であるが、今回の成果は疲労特性向上指針を検討する上で有用な知見であると考えられる。
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Research Products
(2 results)