2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560099
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
夏 恒 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (40345335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國枝 正典 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (90178012)
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Keywords | 電解加工 / 難削材 / 加工モデル / 電流波形 / 極間距離 / 制御 |
Research Abstract |
電解加工は,電気化学反応を利用した金属加工法で,非接触加工で,材料によらず加工可能といった長所があるので,代表的な難削材である超硬合金の加工に適しているが,転写精度が悪く微細加工には不向きであるという短所があった。そこで電解加工の加工精度を向上させるため,本年度はまず,電解加工現象を等価回路で表現し,加工モデルの確立を試みた。また電解加工において特に重要な課題である極間距離の制御を実現するため,パルス波形の極間距離に対する変化から,極間距離を制御する手法について検討した。加工モデルの作成は,まず工具電極と工作物の間で生じている諸現象を回路素子に置き換えることで等価回路を求めた。次に実験によって得られた電流波形を元に,その波形を再現できるような各素子の値を同定した。さらにこの等価回路モデルによる解析結果を加工実験により検証し,より加工精度が向上する加工条件を求める研究も行った。理論通り,幅の短いパルス電圧を印加すると加工精度が向上することが解析と実験双方から確認できたほか,短いパルス幅でもパルスとパルスの間隔(パルスのオフ時間)を長くするとより加工精度が向上することが分かった。なお,工作物材料の溶出速度に応じた送り速度で工具電極を送り込む必要があるので,電解加工中の極間距離を電流波形のピーク値から推定する装置を製作し,これを用いた貫通穴加工実験の結果,単純な定速送りと比較して形状精度,加工時間ともに良い結果が得られた。しかし実験結果からその加工プロセスは想定していたものとは異なり,ツール直下での加工の進行がスラッジにより妨げられたのが原因であると考えられるため,今後はスラッジの除去手法について検討していく必要がある。
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