Research Abstract |
電解加工は電気化学反応を利用した加工法で,代表的な難削材である超硬合金の加工に適しているが,加工中に生じる生成物が狭い極間から排出されにくく,加工電流が妨げられるので,加工速度や形状精度に悪影響を及ぼす一因となる.昨年度は,電流波形のピーク値から工作物と電極の間の距離を検出し,工作物材料の溶出速度に応じて工具電極を送る装置を製作した.実験の結果,加工の進行に伴って,生成物の発生により,加工精度が低下し,また極間距離の検出感度も低下するので,生成物の除去手法を確立する必要があると分かった.そこで,今年度は,工具と工作物の相対運動による極間生成物の除去効果について実験的に検討し,この運動が工具形状の転写精度及び極間距離の検出感度に与える影響について考察する.実験では,一定のインターバルごとに工具を高速で設定のストローク量だけジャンプさせ,極間生成物を除去するルーチンを挿入した.ジャンプとジャンプの間のインターバル,ジャンプの高さ,またジャンプとジャンプの間のパルス回数の影響を調べた結果,以下のことが分かった.(1)高速に工具を上下動することにより極間生成物を除去し,加工速度の低下を抑制することができる.(2)生成物除去ルーチンのインターバルを短く,工具のストロークを大きくすることで極間生成物の除去能力が向上する.(3)極間清掃には最適な頻度が存在し,それより低い頻度,またはそれより高い頻度で工具をジャンプさせると,加工量が減少し,転写精度,加工粗さとも悪化する.(4)ジャンプ動作により,極間距離の検出感度の低下を防げる.
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