| Research Abstract |
本年度は,昨年度に引き続き,接触熱抵抗の定量的測定法について検討するとともに,実際に旋盤ベースの複合加工機を用いて,その熱変位特性の測定を行った.その結果以下のような成果を得た.
(1) 昨年度実験的にその基本特性が明らかになった,結合面の不均一性が接触熱抵抗に及ぼす影響について,さらなる実験的な検討を行うとともに,そのメカニズムについて理論的に検討した.
先ず,接触熱抵抗を電気抵抗モデルで表現できることを明らかにし,そのメカニズムについて詳細に検討した.その結果,結合面に接触状態の不均一性が存在すると,結合面に平行方向の熱流が生じるため,熱流が流れるための抵抗が実生し,接触熱抵抗が大きくなることが判明した.結合面の不均一性の要因としては,結合面の平面度不良により,接触部が局在する場合と,圧力分布が異なり,接触部の接触率分布が不均一になるなどがあるが,全ての不均一性に対して,同じモデルで対応が可能であり,さらに,そのメカニズムも説明ができることが明らかになった.本成果は,均一接触面の接触熱抵抗から,不均一な結合面の接触熱抵抗を推定する手法を確立するための知見として大いに活用できるものと考えられる.
(2) 結合部を多く有する多軸・複合工作機械複合加工機の熱変形特性を実験的に測定し,その熱変形特性のモデル化を試みた.室温の変化などの影響が大きく,モデルに組み込むべき物理パラメータを明確には,抽出できなかったが,ほぼ,安定した環境においては,ある程度熱変形を表現できるようになった.
これらは,今後,結合部を考慮に入れた多軸・複合工作機械の熱変形解析結果と実験結果の比較を行う際の評価基準として活用できるものと思われる.
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