2010 Fiscal Year Annual Research Report
超硬質Ti-B-Cコーティングによるドライ切削用高耐熱工具の開発
Project/Area Number |
20560114
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
神崎 昌郎 東海大学, 工学部, 教授 (20366024)
|
Keywords | 薄膜 / スパッタリング / 切削加工 / チタン / ホウ素 / 炭素 |
Research Abstract |
本研究はチタン合金をはじめとする難削材の切削加工における環境対応化および高効率化を促進させることを目的に,広義のドライ加工(セミドライ加工を含む)に適用可能な高耐熱工具を新規硬質Ti-B-Cコーティングにより創成することを目指すものである. 平成21年度の研究において,超硬質潤滑性Ti-B-C薄膜を切削工具にコーティングし,析出硬化型ステンレス鋼(15-5PH)とチタン合金のドライ加工およびセミドライ加工(ミスト(潤滑油)供給量:12ml/h)を実施した.いずれの材料の切削時においても,切り屑排出性および被削材の表面平滑性が向上し,切削抵抗(主分力)が15%程度低下した.ただし,切削距離を1000m以上にすることにより,Ti-B-C薄膜の一部が剥離した. 平成22年度は,ホウ素を過剰に含むTiB_<2+α>(α=0.4~0.6)をベースとしたTi-B-C薄膜の密着性および耐久性向上を目的とし,薄膜形成時にバイアス電圧を印加した.その結果,成膜時の基板に-50Vのバイアス電圧を印加することにより,Ti-B-C薄膜の密着力は20%向上した.また,密着力が向上したホウ素リッチのTi-B-C薄膜を切削工具にコーティングすることにより,室温での摩擦係数が小さくない場合においても難削材切削時の切り屑排出性は改善された.これは切削温度上昇に伴いコーティング材表面でB_2O_3のような低融点(融点:480℃)のガラス質成分が生成・溶融したためと考えられる.この結果は,切削温度が上昇しやすい上記ステンレス鋼やチタン合金の切削においては,ホウ素リッチTi-B-C薄膜のコーティング材が有効であることを示したものである.
|