2010 Fiscal Year Annual Research Report
硬質砥粒とメカノケミカル砥粒との複合砥石における研削機構モデルの構築
Project/Area Number |
20560119
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山口 智実 関西大学, システム理工学部, 教授 (10268310)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 誠宏 関西大学, システム理工学部, 教授 (50067732)
小田 廣和 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (30067756)
島田 尚一 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (20029317)
古城 直道 関西大学, システム理工学部, 助教 (80511716)
|
Keywords | 超精密加工 / 超砥粒砥石 / 超仕上 / メカノミカル / 複合砥粒砥石 / ガラス / 酸化セリウム / 硫酸バリウム |
Research Abstract |
今年度は,複合砥粒砥石に関して1つ,そして,メカノケミカル砥粒単体の砥石に関して1つの成果を得ることができた. 1. 単結晶シリコンの超仕上に対する複合砥粒砥石BaSO_4-SD砥石の性能評価を行った.シリコンウェハの平滑化を行うため,単結晶シリコンをダイヤモンド(SD)砥石で超仕上すると,シリコンの炭化反応によりダイヤモンド砥粒が著しく摩耗するという問題が生じる,そこで,メカノケミカル砥粒の一つである硫酸バリウム(BaSO_4)砥粒を複合した砥石によりシリコンの超仕上を行ったところ,ダイヤモンド砥粒の摩耗が抑えられ超仕上能率が向上することが加工実験より明らかになった.そして,この理由を化学反応理論から検討してみると,複合砥粒砥石では,硫酸バリウム砥粒によりシリコン表面が酸化され,その酸化面をダイヤモンド砥粒が削ることでシリコンの炭化反応が抑制され,ダイヤモンド中の炭素が残ることで摩耗が抑制され,仕上能率が向上したことが判明した.このように,複合砥粒砥石では,被削材表面をMC砥粒で酸化することでダイヤモンド等の硬質砥粒との化学反応を抑制し加工できることがわかった. 2. メカノケミカル砥粒の一つであるセリア(CeO_2)砥粒単体のメカノケミカル砥石を用いて,軸受鋼の超仕上に対する性能評価を行った.セリア砥粒は軸受鋼よりも柔らかく切削能力は有さないにも関わらず,軸受鋼は複合砥粒砥石ほどではないが除去される.従来,セリアが軸受鋼を酸化することは明らかにされていたが,酸化された軸受鋼表面の除去機構は不明であった.今回,超仕上圧力・加工速度等の超仕上条件を様々に設定し超仕上実験を行うことで,軸受鋼の酸化表面は,セリア砥石の結合剤であるビトリファイドによって除去されることがわかった.これは,従来の複合を含む硬質砥粒砥石ではない除去機構であり,新しい軟質のメカノケミカル砥粒単体砥石の除去機構を明らかにした.
|
Research Products
(4 results)